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- 金を加えることで輝きを増すポートフォリオ
・金のインフレや不確実性へのヘッジ手段としての需要が高まっている
・金をポートフォリオに加えることで分散投資効果が期待される
金価格の上昇の背景にある金の特徴
金価格は2024年3月以降、大きく上昇し、足元では過去最高値水準で推移しています。米国金利や米ドルの上昇など、2024年年初より金価格にとって逆風となる要因注1があった中でも金価格が底堅く推移した背景には、以下の表に示す金が持つ特徴への注目の高まりがあると考えられます。
過去最高水準で推移する中央銀行の金需要
金の需要項目をみると、宝飾品需要や金地金などを通じた投資需要などが存在しますが、近年、金価格に大きな影響を与えているのが中央銀行の需要です。
世界の中央銀行による金需要は2022年以降、インフレ圧力の増加やロシアのウクライナ侵攻などの地政学リスクの高まりなどを背景に大きく増加し、2024年1-3月期には、同期の実績としては2010年以降で最高水準となる289.7トンを記録しました(図表2参照)。世界の主要な中央銀行を対象とした調査注2では、金を保有する理由として、長期にわたる資産価値の保全に加えて、危機下における価値の安定性に対する期待や通貨分散の手段として評価する傾向が強いことが示されています。また、国際通貨システムの中で基軸通貨となっている米ドルへの依存度を下げたいという一部の新興国の思惑なども、金需要の増加につながっていると考えられます。
注2 WGCによる2023年の年次中央銀行調査
なお、基軸通貨である米ドルを発行する米国政府の債務残高は長期的に増加傾向にあり(図表3参照)、近年では政治的な対立から債務不履行が懸念される事態が発生しています。今後、米国の信用力に対する不安や、新興国の台頭に伴う米国の相対的な地位低下などを背景に米ドルに対する信認が低下した場合、代替通貨として信用リスクのない金への需要が高まると考えられます。
金をポートフォリオに加えることで分散投資効果を発揮すると期待される
足元の投資環境においては、世界的にインフレが高水準で推移すると予想されることに加え、国家・地域間の対立や米国の大統領選挙、主要国の金融政策の動向など、不確定要素が数多く存在すると考えられます。そのような環境においては、インフレや不確実性に対するヘッジ手段といった金の特徴に加え、ポートフォリオに金を加えることで「分散投資効果」が期待されることも、金が注目を集める要因になると考えられます。
「分散投資効果」とは、値動きの異なる資産を組合わせることで、ポートフォリオ全体の値動きを安定させる働きなどのことです。金の過去の値動きを振り返ると、主要な資産とは異なる値動きをしてきたことから(図表4、5参照)、金を株式や債券などの伝統的な資産と組合わせることで「分散投資効果」が期待できるといえます。
なお、図表5以降に示した「金(円換算)」は、米ドルベースの金の価格を米ドル・円の為替レートを用いて円換算したもので、米ドル・円の為替レートの変動の影響を含めた金価格を示します。 また、「金(円ヘッジ)」は、為替の変動による価格への影響を抑えるために行う手段である為替ヘッジ注3を行い、米ドル・円の変動リスクをヘッジしたものと想定して算出した金価格を示します。
注3 為替ヘッジは為替変動の影響を完全に排除できるものではなく、為替ヘッジ後の金価格は為替変動の影響を受ける場合があります。また、為替ヘッジを行うに際には通貨間の短期金利差に応じて為替ヘッジ「コスト」の支払い、もしくは為替ヘッジ「プレミアム」の受け取りが生じます。例えば、米ドル・円の為替ヘッジを行う場合、円の短期金利が米ドルの短期金利よりも低い場合には為替ヘッジコストが生じます。
様々な資産との併せ持ちに相性が良い金
以下は、金を主要な資産と組合わせた場合のパフォーマンスのシミュレーションです。金を併せ持つことで、ポートフォリオ全体の値動きを安定させる効果が確認できました。
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