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- 投資妙味高まる日本株式市場
世界の主要中央銀行が金融引き締め政策を加速させる中、日銀は金融緩和政策を維持しています。世界各国と比較すると日本ではインフレが相対的に抑えられていることから、日銀は金融政策に柔軟性を持たせることができ、日本株式市場への投資妙味は高まっているといえます。
日銀の金融緩和政策により、日本株式市場は引き続き有利な状況にある
日銀の金融緩和政策が維持されていることで、日本株式市場への投資の好機はより高まっています。年初来の日本株式市場の相対的なパフォーマンスは良好であった一方、景気敏感型セクターにおいて、引き続き株価が上昇する余地は見込まれ、投資妙味は増しているとみています。中国のロックダウン解除による緩やかな景気回復の恩恵を受けられると同時に、高インフレが続く環境下で相対的に有利な投資となる可能性が高いと考えています。
米国と欧州での前例のない金融・財政政策による景気刺激策とウクライナ危機が相まって、過去10年以上の最高水準のインフレを引き起こしました。このインフレ率の急激な上昇は、多くの中央銀行に金融政策の正常化をより積極的に進めることを促し、とりわけ株式市場で大きな調整を引き起こしました。
その後、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど他の中央銀行もインフレ抑制のための金融政策の引き締めを決定しており、経済成長を犠牲にしてでも、インフレが減速する兆しが見えるまで金融引き締めの動きに歯止めがかからないことを示唆しています。
日本におけるインフレの状況は世界のトレンドに逆行している
多くの国でインフレ率が急上昇している中、日本のインフレ率は比較的抑制されています。人口動態の高齢化、貯蓄率の上昇、また消費に依存にする経済ではないことなどの要因により、歴史的に頑強な低インフレに苦しんでいるため、ベース効果(時系列でデータの変化率を算出する際、比較の基準となる時点のデータによって結果に影響が出ること)が有利に働くといえます。
下の図は、今後数四半期の消費者物価指数(CPI)インフレ率に関するエコノミストのコンセンサス予想の推移を示したものです。米国と欧州では年末にインフレ率が7%を超えると予想されているのに対し、日本では2%前後に留まると予想されています。
日本、米国、欧州の消費者物価指数(CPI)インフレ率に関するエコノミストのコンセンサス予想
出所 FactSet、ピクテ・トレーディング・ストラテジー 2022年6月9日 時点。
長年低迷していた日本株式は再び魅力を増している
日本株は過去数十年間、そのデフレ環境から投資家に相対的に割安とされてきましたが、現在の環境ではこの要因がプラスに働くと証明できる可能性があります。実際、インフレの進行が相対的に弱いため、日銀は金融政策に柔軟性を持たせることができます。日銀の黒田総裁は、日本経済が未だ大不況後の回復段階にあり、商品価格の上昇が景気回復の重荷となる可能性があると言及し、超緩和政策を維持する姿勢を改めて示しました。また、このような状況下では「金融引き締めは全く適切な手段ではない」と付け加えました。
年初来、多くの国で株価指数がマイナス圏にとどまっている中、日本株価指数(MSCI Japan)は3ヶ月間と過去30日間のパフォーマンス(6月9日時点)がプラスとなり、世界各国の株式市場の動向と逆行しています。
世界の主要国で金融政策の正常化を加速させる中央銀行が増える中、日銀だけがハト派的なスタンスを維持していること、また、中国経済で改善傾向がみられること、円安の進行が輸出志向の日本市場の下支えとなるなど、日本株式市場にとって好材料となる要因が多く、日本株の投資妙味は高まっていると考えられます。
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