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新興国の経済動向と金融政策
2022/07/07

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概要

新興国の主要経済指標と金融政策についてピクテがアップデートします。



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経済データの動向

1.国内総生産(GDP)

  • 米国の第1四半期のGDPは、耐久財・サービス消費の減少を背景に個人消費が下方修正され、予想をやや下回る結果となりました。
  • ケニアの第1四半期のGDPは前年同期比6.8%増で予想を上回り、エジプトの第1四半期GDPは前四半期比0.9%増となりました。

2.購買担当者景気指数(PMI)

  • 米国ISM製造業PMIは、5項目中3項目が低下し、53と予想を大きく下回りました。注目すべきは、新規受注指数が50を下回ったことで、一部の企業からは、顧客の在庫水準が高いため受注が減少していると報告されています。また、雇用指数が50を下回っているため、企業は人手不足に直面しており、中期的に人員削減に慎重になる可能性を示唆しています。
  • 中国の製造業PMIは再び拡大基調に転じたものの、予想をわずかに下回りました。ロックダウン(都市封鎖)の緩和による生産再開により、生産指数と新規受注指数が今年2月以来で50を上回ったことがけん引しました。一方、新規輸出受注は13ヵ月連続で50を下回っています。これは、PMIの回復は、依然として外需の回復が見られない中、国内のインフラ投資の刺激によってもたらされていることを意味しています。また、PMI回復の足かせとなっているのはPMIが14ヵ月連続で50を下回っている中小企業ですが、財新製造業PMIは予想を上回り、景気拡大域まで回復しています。
  • 中国の非製造業PMIは、サービス業の回復により、予想を大幅に上回る結果となりました。非製造業指数はより国内の状況を反映するため、このような結果は中国国内の経済活動が回復し始めたことを示唆しています。

3.消費者物価指数(CPI)

  • 米国の個人消費支出(PCE)は予想を下回りました。名目個人所得は市場の予想通り増加しましたが、個人消費は予想を下回りました。支出の詳細に注目すると、そのほとんどが非耐久財やサービスへの支出であったことから、個人消費は金利上昇を考慮し、慎重になっていることと、モノへの消費から移行していることが分かります。
  • ユーロ圏の6月のHICPデータは、エネルギーと食品価格の上昇にけん引され、サービス価格の上昇は減速したものの、予想を上回る前年同月比8.6%となりました。コアインフレ率は前年同期の3.8%から3.7%に低下しましたが、ECBの目標値である2%を大幅に上回っています。
  • ペルーのCPIは食品と運輸価格にけん引され、予想を大幅に上回りました。インフレを緩和するための政府施策の効果は乏しく、このようなインフレ圧力は今後も続く可能性があることを示唆しています。

中央銀行の金融政策

  • タイ、アンゴラ、ケニアの新興国中央銀行は政策金利を据え置きました。チェコは50bps、チリとコロンビアはそれぞれ予想値を50bps下回る150bpsと100bpsの利上げを実施しました。
  • また、コロンビアは予想されていた150bps、ハンガリーは市場予想の50bpsを大幅に上回る185bpsの利上げを実施しました。
  • ハンガリーでは、市場予想の50bpsを大幅に上回る185bpsの利上げを行い、預金金利との整合性を保つため、1週間物預金金利も50bps引き上げ7.75%としました。これは事実上政策金利を50bps引き上げたと捉えられ、インフレが当局にとっての最大の脅威となっており、タカ派姿勢を強めていることを示しています。
  • コロンビアは市場予想の150bpsの利上げを実施し、2022年の期待インフレ率を1.3%上方修正し、6.3%としました。

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