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- 2022年1月のバイオ医薬品市場
バイオ医薬品関連企業の株価動向
1月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。
2022年1月のバイオ医薬品市場は、株式市場で成長株(グロース株)から割安株(バリュー株)への資金移動が続く中、大きく下落しました。強烈な資金移動の背景にあるのは、米国の利上げが2022年3月に開始されるとの見方が優勢になっていることです。また新型コロナウイルスのオミクロン株が世界各国で猛威を振るう中、患者の受診控えが続いており、新薬を発売したばかりの企業に大きな影響が及ぶことが懸念されます。
株価が大きく上昇した銘柄としては、バイオクリスト・ファーマシューティカルズ(米国)等が挙げられます。バイオクリスト・ファーマシューティカルズは、主力治療薬オルラデヨの予想を上回る2021年10-12月期の売上(暫定値)と、2022年以降の好調な見通しを発表したことが好感されました。
株価が大きく下落した銘柄としては、サイトカイネティックス(米国)、TGセラピューティクス(米国)等が挙げられます。サイトカイネティックスは、2021年12月に大きく上昇していたことの反動で株価が下落しました。また同社は、ロイヤルティ・ファーマ(米国)との提携を発表したことで、今後、経営権を維持しつつ、希薄化の影響を心配せずに新薬の開発資金を入手できることになりますが、近い将来、買収対象となる可能性がなくなったとの思惑も株価下落の要因となった可能性があります。TGセラピューティクスは、米食品医薬品局(FDA)が、白血病/リンパ腫治療薬の治験の一部差し止めを発表したことから株価が下落しました。FDAは、複数の免疫抑制剤の併用が新型コロナウイルス患者の重症化を引き起こす可能性を懸念したことを判断の根拠としており、近日中に予定される抗がん剤諮問委員会(ODAC)で治験の一時的な中止が提起されるリスクが増しています。一方、極めて有望な多発性硬化症治療薬候補が年内にも承認される可能性が残っています。
今後のバイオ医薬品市場見通し
バイオ医薬品セクターについては、2022年には米食品医薬品局(FDA)への信頼が高まり、状況が好転するものと考えます。また大手医薬品企業や大手バイオ医薬品企業はM&Aの原資となる多額の現金を有していることも注目されます。他方、バイオ医薬品株式市場は、このところ米国株式市場を下回るパフォーマンスとなっていますが、バリュエーションが再び魅力的な水準となり、センチメントも弱気であることから、長期的な価値を見出す機会となっている可能性があると考えます。
長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む良い機会となると考えます。
バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる
バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました。(図表6参照)
バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています。(図表7参照)
売上高の伸びに沿って株価も上昇
過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)
バリュエーション
新薬の開発動向が順調に推移していることやバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて株価が上昇しており、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇しています。(図表9参照)
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