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2022年5月のバイオ医薬品市場
2022/06/22

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概要


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バイオ医薬品関連企業の株価動向

5月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。

2022年5月は世界の株式市場が小幅な下落となる中、バイオ医薬品株式は世界株式を上回る下落となりました。特に中小型株の下落が大きくなりました。こうした環境下、久々に大型のM&A(合併・買収)案件が発表されたことは好材料となりました。

株価が大きく変動した銘柄としてはバイオヘブン・ファーマシューティカル(米国)、ユナイテッド・セラピューティクス(米国)、アルジェニクス(オランダ)等が挙げられます。バイオヘブン・ファーマシューティカルは、ファイザー(米国)が同社を総額116億ドルで買収すると発表したことを受けて株価が大きく上昇しました。ユナイテッド・セラピューティクスは、米食品医薬品局(FDA)から肺高血圧症治療のための吸入粉末剤タイベイソDPIの承認を受け、規制や競争面での懸念が払拭されたことが好感されました。

アルジェニクスは、極めて優れた治療薬を開発する企業として見なされており、買収候補として多くの企業の関心を集めていることから株価が上昇しました。また米国最大の癌学会である米国がん治療学会議(ASCO)の開催を6月に控え、公表したデータが嫌気された一部の銘柄は株価が下落しました。いずれも研究の方向性は正しいと考えますが、データの解釈には時間を要するものと思われます。

今後のバイオ医薬品市場見通し

バイオ医薬品セクターについては、2022年は新しいリーダーの下で米食品医薬品局(FDA)への信頼が高まり、状況が好転するものと考えます。また大手医薬品企業や大手バイオ医薬品企業は多額の現金を有しており、魅力的な技術や治療薬候補などを持つバイオ医薬品企業とのM&Aや業務提携などの動きが注目されます。他方、バイオ医薬品株式市場は、このところ米国株式市場を下回るパフォーマンスとなっていますが、バリュエーション(投資価値評価)が再び魅力的な水準となり、センチメント(市場心理)も弱気であることから、長期的な価値を見出す機会となっている可能性があると考えます。ただし現在は、ウクライナ情勢の動向や米国の金融引き締めの動きなどがバイオ医薬品株式にも影響を与える可能性があり、注意が必要と考えます。

長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む良い機会となると考えます。

バイオ医薬品関連企業の売上高は新型コロナ・ワクチンの売上減などが影響し相対的に低い伸びに

                                                                                                                                                                                                                                       

バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました。(図表6参照)

一方、今後の売上高の伸びについては、2023年以降、モデルナ(米国)、ビオンテック(ドイツ)の新型コロナウイルス・ワクチンの売上が大幅に減少すると予想されていることが影響し、米国企業や先進国企業を下回ると予想されています。(図表7参照)

ただし、バイオ医薬品関連企業については、引き続き多くの有望な治療薬候補を有しており、新薬の承認後の業績寄与が期待されています。

売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)

バリュエーション

バイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて2021年夏頃までは株価が上昇し、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇していました。しかし2021年秋以降はFDAの承認申請に対する予想外の決定などがマイナス要因となったことに加え、今年に入りナスダック市場の下落が大きくなる中、ナスダック・バイオテック指数も下落したことから、PSRも低下しています。(図表9参照)

(将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

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