- Article Title
- 新型コロナウイルスの感染拡大でも米国株が最高値を更新したワケ
連日報道される新型コロナウイルスの感染者拡大をよそに、S&P500指数は2月13日にザラ場で最高値を更新した。中国に おける工場の再稼動がたびたび延期され、小売やレストランの店舗は一時閉鎖、航空会社は中国行きを減便/休止を余儀なく されるなど、企業活動の停滞が懸念される中でも米国株の上昇が止まらなかった要因は「流動性」にある。
新型コロナウイルス感染拡大のピークはいつか?
中国の保健当局のチームを率いる専門家によれば、新型 コロナウイルスによる感染拡大は2月中旬から下旬にかけて ピークを迎える可能性があると、一部メディアが2月12日に 報道した。米国株式市場でもすでに感染者数の伸び率鈍 化をきっかけに、今月から株を買い戻す動きが見られた。し かし、2月13日には湖北省の保健当局が新たな診断方法 を導入した結果、2月12日における新型コロナウイルスの感 染者数が新たに14,840件増えたと発表、想定以上に感染 が広がっている可能性が浮き彫りになった。
米国株の上昇を支えたのは「流動性」
新型コロナウイルスによる経済の下振れリスクが依然として残る中、米国株が最高値を更新する展開となった要因は、FRB(米国連邦準備制度理事会)による潤沢な流動性供給が挙げられる。パウエルFRB議長は否定するが、FRBは昨年10月から毎月約600億ドルの短期国債の買い入れを行っており、これが実質的にQE4(量的緩和第4弾)とマーケットでは認識された。さらに、感染者拡大の影響でFRBによる追加利下げもマーケットでは期待されており、流動性相場を後押しする材料になった。
流動性供給は過度なリスク・テイクの副作用も
FRBによる潤沢な流動性供給はS&P500指数の予想PER (株価収益率)を切りあげ、過度なリスク・テイク(リスクを積 極的に取る投資行動)を助長するおそれがある。それはつ まり、市場で大きなリスク・イベントが発生した際に、そのリス ク・テイクがすぐさま逆回転する可能性があることを同時に 意味する。新型コロナウイルスの感染拡大が早期に終息す ることを願うばかりだが、投資ではマーケットが想定していな いリスクについても考慮する必要がある。新型コロナウイルス の感染拡大によって想定以上に経済が下振れする可能性 が払拭されない以上、公益や不動産といった相対的にリス クの低いセクターに分散投資をし、ポートフォリオのリスクを 下げて資産運用を行うことが当面重要になるだろう。
当資料をご利用にあたっての注意事項等
●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。