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ESG投資編(12)ESG投資の事例③~ESGインテグレーション~
2021/08/26

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概要

ESG投資を考える上でエンゲージメントは非常に重要な活動です。エンゲージメントとは、運用者・投資家と投資先企業が、投資先企業が抱えているESG課題の解決などについて、建設的な対話を行うことを言います。今回は、ピクテのエンゲージメントについての考え方や手法、実際の活動例について見ていきます。




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エンゲージメントとは

ESG投資を考える上でエンゲージメント(対話)は非常に重要な活動です。エンゲージメントとは、運用者・投資家と投資先企業が、投資先企業が抱えている環境問題(E)、社会問題(S)、ガバナンスの問題(G)の解決や経営戦略、資本戦略などについて、建設的な対話を行うことを言います。なぜエンゲージメントが重要であるかというと、対話を通じて企業行動を変革し、持続可能な社会の実現と運用パフォーマンスの向上の両方が期待できるからです。もちろん、ESGに問題を抱えている企業に投資を行わない、またはESGの問題が生じた企業の株式や債券をポートフォリオから外す(売却する)という方法もあります。しかし、このやり方では、企業行動の変革は望めません。持続可能な社会を実現するためには、長期間に渡って投資先と対話し続けることが重要であり、そうすることが投資先の価値の上昇と投資リターンの向上に繋がると考えます。また、エンゲージメントを行うには、長期投資家として、信頼を得ることも重要です。

図表1:ピクテのエンゲージメント手法

ピクテのエンゲージメント

ピクテは、アクティブ・マネージャーとして株式や債券の運用を行っており、投資先企業に前向きな変革を促すために投資家の力を活用することが、顧客のための長期の投資判断を改善すると同時に、より持続的な資本主義の形成に資することを確信しています。また、積極的なエンゲージメントは、前向きな変革を促すための極めて強力な手段であると考えています。2020年には、ESG関連項目について重大な欠陥が見られる227社を特定し、当該企業との1対1のエンゲージメントおよび他の投資家との協働エンゲージメント、ならびに社外のESG関連サービス提供機関に委託したエンゲージメントを合わせて計272件のエンゲージメントを行いました。その結果、これまで難しいと考えられてきた鉱業や電力、石油・ガス等の企業から具体的な行動変革を引き出しました。ピクテは、今後も企業と1対1または他の投資家との協働でのエンゲージメントを通じて、持続可能な社会の実現と長期的な投資家の利益の獲得を行っていきます。

図表2:ピクテのエンゲージメント実績の内訳(ESG課題別)

ピクテのエンゲージメントの例

ピクテは、ドイツの電力企業との1対1のエンゲージメントならびにCA100+※1を通じた協働エンゲージメントを2019年の早い時期に開始しました。エンゲージメントの目標には、同社の事業戦略をパリ協定※2の目標に整合させることの他、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD) ※3の要件に沿った気候変動関連のシナリオ分析を含む情報を一般に開示すること、直接的ならびに間接的なロビー活動の透明性の改善を図ること、報酬慣行を二酸化炭素排出量削減目標と連動させること等が含まれます。ピクテは2019年、2020年の両年を通じて同社とのミーティングを何度も開催し、多くのエンゲージメントにおいて目標の実現に向けて大きく前進しました。主な成果として挙げられるのは、1)パリ協定に整合し、「科学に基づいた目標イニシアチブ(SBTI) 」※4の監査を受けた脱炭素化目標の明確化、2)石炭資産に係る法的制約の遵守、3)経営幹部の報酬に係る政策の改定、ならびに取締役会へのESG目標の統合を前進させたことです。同社とは、今後も建設的な対話を続けていく予定です。

※1 Climate Action100+(CA100+)は、世界各地域の機関投資家による気候変動イニシアチブ(団体、ネットワーク)が結集して2017年12月に発足したグローバルイニシアチブです。
※2 パリ協定は、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みです。2015年にフランス・パリで開かれた、温室効果ガス削減に関する国際的な取り決めを話し合う「国連気候変動枠組条約締結国会議(通称COP)」で合意されました。
※3 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD、Task Force on Climate-related Financial Disclosures)は、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立された組織のことです。
※4 科学に基づいた目標イニシアチブ(SBTI) は、世界自然保護基金(WWF)などの団体が共同で設立した国際的な団体です。気候変動による世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べて1.5℃に抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を設定することを企業に対して推進しています。


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