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2023年11月の新興国株式市場と今後の見通し
2023/12/06

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概要

11月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で上昇となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。



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2023年11月の新興国株式市場

新興国株式市場は、月半ばにかけて米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ打ち止め観測が高まり、米長期金利が低下したことに加えて、米中首脳会談の開催により地政学リスクが後退するとの見方などが追い風となり、概ね上昇基調となりました。月後半には中国経済への懸念が再び高まったことなどが相場の重荷となりましたが、月間では上昇となりました。

主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)

国別(現地通貨ベース)では、ブラジルは、素材や金融セクターの銘柄を中心に上昇し、上昇率は相対的に大きくなりました。また、ブラジル国内のインフレ率の鈍化や、ブラジル中銀が利下げ姿勢を維持するとの見方などもプラス材料となりました。韓国は、主力の情報技術セクターの銘柄を中心に上昇しました。南アフリカは、世界的にリスク回避の動きが後退する中で、主力のインターネット関連銘柄や金融セクターの銘柄が上昇したほか、金価格の上昇を受けた金鉱株などがけん引し、全体でも上昇となりました。台湾は、主力の半導体銘柄が発表した月次売上高から、半導体市場の回復の兆しがみられたことなどを受けて、情報技術セクターを中心に上昇しました。インドは、エネルギーや金融セクターを中心に上昇しました。また、インド最高裁判所が、米投資会社から不正会計や株価操作疑惑があったと指摘されていたアダニ・グループに対する調査申し立てを却下する判断を下したことを受けて、アダニ・グループ傘下の銘柄も上昇しました。中国は、下落しました。当局が低迷する不動産業界の支援策として国内銀行に対して融資強化を要請する流れを受けて、銀行の不良債権が増加するとの懸念が高まったことなどから金融セクターが下落したほか、経済に対する懸念がくすぶる中で幅広い銘柄が低調となりました。また、事業分離上場計画の中止を発表したオンライン販売大手企業や、成長鈍化が意識されたフードデリバリーアプリ大手企業などは大幅下落となりました。

セクター別(現地通貨ベース)では、すべてのセクターが上昇しました。特に、情報技術やコミュニケーション・サービスの上昇率が相対的に大きくなりました。一方、一般消費財・サービス、エネルギー、生活必需品などは相対的に小幅な上昇となりました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあります。

東南アジアについては、アジアにおける製造拠点の分散化の流れなどから恩恵を受けると予想されます。

南米では、メキシコは、米企業などの「ニアショアリング(事業拠点の近隣移転)」として恩恵を受けると期待されます。また、ブラジルは依然として政策金利は高水準ですが、利下げに転換しています。

中国は、不動産セクターや株式市場の下支えなどの景気刺激策を打ち出しています。引き続き、魅力的な投資分野は存在していることに加えて、予想以上に企業業績が堅調に推移していることなどは、明るい材料です。しかし、先行き不透明感が残り、株価は不安定な動きが続くことも懸念されます。こうしたことから、当局が打ち出す政策が、実体経済に効果をもたらすかを注視しつつ、分散投資を徹底していくことが重要であると考えます。

一方、インドについては、足元の景気動向についても概ね良好で、長期的にも相対的に高い経済成長が期待できるとみています。しかし、バリュエーションは相対的に高水準で、銘柄選別が重要になると考えます。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)


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