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- 2024年の新興国市場の見通し
2024年の新興国市場について、ピクテの見通しをご紹介いたします。
■株式市場の見通し
新興国の株式市場については、1)先進国を上回る経済成長期待、2)インフレ圧力の緩和や、多くの中央銀行による金融緩和サイクルの開始、3)米ドルに対して割安な新興国通貨、4)割安な株式のバリュエーション(投資価値評価)などが、今後の株価上昇のポイントになると見ています。
地政学リスクや主要国の金融政策動向などが金融市場のボラティリティ(価格変動)を高める要因となる可能性について留意する必要がありますが、新興国高配当株式は、すでにPERの水準が低いことから、市場の調整局面でも、新興国高配当株式の一段のPER縮小のリスクは比較的小さいと見ており、中長期的な投資機会となる可能性が考えられます。
■国・地域別見通し
【中南米】
中南米では、経済の良好なファンダメンタルズ(基礎的条件)が損なわれていません。ブラジルやチリが利下げに転じ、バリュエーションが魅力的と見えることに加えて、好調な輸出が、2024年の経済成長を支える堅固な基盤を築いています。金融緩和サイクルの開始、(税制改革による)企業リスクの低下、年初からの株式市場の調整などを受けて、割安なセクターが散見されます。メキシコは、多くの国内企業の成長をけん引するニアショアリング(製造拠点の近隣移転)から特に大きな恩恵を受けており、こうしたトレンドは、2024年も続くものと考えます。
【東南アジア諸国連合(ASEAN)】
東南アジア諸国連合(ASEAN)についても強気の見方を維持しています。インドネシアは段階的な利上げを継続していますが、2024年には、金融政策が反転し、経済の成長に伴って、魅力的な投資の機会がもたらされるものと考えます。通貨面では、(2023年中は)短期的な下落局面が展開されたものの、もう一段の通貨安リスクは後退しつつあると考えます。ベトナム市場は、規模は小さいものの、多くの企業が採用する「中国プラスワン」政策の恩恵を受けています。
【中国】
中国では、不動産不況が逆風として吹き付ける状況が変わらず、短期的には大きな改善は見込めそうにありません。政府による段階的な支援策が、市場を、幾分、落ち着かせているものの、抜本的かつ大型の支援策は講じられていない状況です。従って、住宅着工の増加による鉄鋼需要の回復は想定以上に低調で、銅価格の上昇も限定的と見ています。前途は多難ですが、中国の持続的な経済成長と政府によるインフラ投資強化の兆しが現れ、米国の利下げとドル安が進めば、投資の好機が訪れる可能性もあると考えます。
【インド】
インドは世界のマクロ環境から遮断されており、世界の出来事との相関性も高くありません。国内経済の底堅い成長が予想されることは魅力的であり、ハイテク・セクターを中心に、投資の好機が散見されます。
【中東】
原油価格は、2023年7~9月期に、サウジアラビアを中心とするOPEC+の減産を受け、1バレル=90米ドル前後まで急騰しました。OPEC+は、2024年も減産を継続するものと思われますが(1~3月期はロシアとサウジアラビアの減産が予定されています)、世界経済の伸びの鈍化による需要の縮小と、非OPEC+の供給増が相まって、全体では供給増となることが予想されるため、原油価格が安定する可能性も考えられます。
原油需要は、2023年との比較では短期的に伸びが鈍化するとしても、長期的には中国などのアジア各国をけん引役に、増加基調が予想されます。中国(アジア)は、需要の伸びの60%以上を占める可能性もあると考えます。航空旅行と観光業は、コロナ前の水準には戻りきっていませんが、2024年は、回復の年になることが予想され、原油価格を支える一因になると考えます。中東紛争など、考慮すべきリスクは少なくありません。状況は、今のところ落ち着いているように見えるものの、紛争が拡大すれば、原油需給の逼迫の懸念が強まる可能性は否めません。もっとも、長期の観点では、中東の株式市場に対する強気の見通しは変わりません。
■選挙戦動向等
2024年は、韓国、メキシコ、インドなどで国政選挙が予定される政治の年であり、投票日が近付くに連れて、市場のボラティリティ(変動率)やリスクが増す可能性が否めません。また、11月には米国大統領選が行われることから、地政学リスクや市場の不確実性が更に増す可能性もあり得ると考えます。台湾の2024年1月の総統選挙については、民進党の新総統が融和的な姿勢を示していることもあって、中国は、結果を比較的冷静に受け止めているように思われます。一方、政治以外では、人工知能(AI)関連テーマが、特に台湾企業を中心とするハイテク・セクターをけん引役として、引き続き、市場の注目を集めるものと考えます。
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