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- 2024年2月の新興国株式市場と今後の見通し
2月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で上昇となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。
2024年2月の新興国株式市場
新興国株式市場は月初、中国当局が株価下支え策を発表したほか、景気刺激策を継続する姿勢を示したことなどを受けて、安心感が広がり、上昇しました。その後、中国の消費者物価指数(CPI)が2009年以来の大幅低下となるなど、中国の需要の弱さを示す経済指標が発表されたほか、米国の消費者物価指数(CPI)が予想以上の伸びを示したことを受けて利下げ期待が後退したことなどもマイナス材料となり、低調な動きとなる局面もありました。しかし、月後半にかけては、中国の春節期間中の消費・旅行支出がコロナ禍前の水準を上回るなど消費回復への期待が高まったことや、米大手半導体企業の好決算などを受けた半導体・AI関連株価高の流れの中で上昇基調となり、月間でも上昇となりました。
主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)
国別(現地通貨ベース)では、中国は、当局による株価下支え策や景気刺激策が好感されたほか、春節中の消費好調などを受けて個人消費の回復期待が高まったことなどから、相対的に大きく上昇しました。韓国は、米半導体大手企業の好決算発表を受けて、高性能半導体を供給する企業の株価が上昇したほか、当局が企業価値向上計画を発表したことなどを受けて、割安感のある金融セクターなどが注目され、市場全体でも上昇となりました。台湾は、世界的なAIブームの流れを受けて主力の情報技術セクターの銘柄を中心に上昇しました。インドは、当局が発表した2024年度予算案で、総選挙を控えている中でも「ばらまき」を抑え、財政再建を重視し、投資家の信頼獲得を目指す方針が堅持されたことが好感されたほか、良好な業績動向を受けて自動車やITサービス企業などの株価が上昇する流れの中で、市場全体でも上昇となりました。ブラジルは、良好な決算と利益見通しを発表した金融や資本財・サービスセクターの銘柄などを中心に上昇しましたが、上昇率は相対的に小幅にとどまりました。南アフリカは、減益決算を発表した素材セクターの企業などを中心に下落となりました。
セクター別(現地通貨ベース)では、一般消費財・サービスが大きく上昇したほか、ヘルスケアや資本財・サービスなども、相対的に上昇率が大きくなりました。一方、生活必需品やコミュニケーション・サービスは上昇したものの、上昇率は相対的に小幅にとどまったほか、素材は下落しました。
今後の見通し
長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。
新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあります。
東南アジアについては、アジアにおける製造拠点の分散化の流れなどから恩恵を受けると予想されます。また、これまでの利上げにより政策金利が高水準にあるインドネシアなどでは、利下げ転換の可能性もあるとみています。
南米では、メキシコは、米企業などの「ニアショアリング(事業拠点の近隣移転)」先として恩恵を受けると期待されます。また、ブラジルは依然として政策金利は高水準ですが、利下げに転換しています。
2024年の新興国における政治イベントでは、1月の台湾総統選挙は与党・民進党の頼氏が勝利して終えましたが、今後、韓国、インドなどで総選挙が実施される予定です。こうした政治イベントの動向を受けて、株式市場の値動きは大きくなる可能性もあり、注視が必要と考えます。
また、注目が集まっているAI(人工知能)の進展は、情報技術セクターの株価にプラス材料となりますが、特に台湾がその恩恵を受けるとみています。
世界経済の減速懸念が高まる一方、インドについては、足元の景気動向についても概ね良好で、長期的にも相対的に高い経済成長が期待できるとみています。しかし、バリュエーションは相対的に高水準で、銘柄選別が重要になると考えます。
中国は、不動産セクターや株式市場の下支えなどの景気刺激策を打ち出しています。しかし、先行き不透明感が残り、株価は不安定な動きが続くことも懸念されます。こうした中で、当局が打ち出す政策が、実体経済に効果をもたらすかを注視しつつ、分散投資を徹底していくことが重要であると考えます。
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)
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