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- 2024年3月の新興国株式市場と今後の見通し
3月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で上昇となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。
2024年3月の新興国株式市場
新興国株式市場は月初、米金融当局の利下げ期待や、AI(人工知能)ブームを受けた米ハイテク株高の流れなどを背景に、おおむね堅調に推移しました。その後、2月の米消費者物価指数(CPI)や米卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回る伸びとなり、インフレが持続するとの見方などから米利下げ期待が後退したことや、米小売売上高が市場予想を下回り、米消費に対する懸念が高まったことなども重なり、下落する局面もありました。月後半は、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の発表で、年内3回の利下げ予想と従来予想通りの内容が示されたことを受けて、米景気は急失速を免れるとの期待や安心感が広がり反発し、月間でも上昇となりました。
主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)
国別(現地通貨ベース)では、台湾は、AIブームの流れの中で主力の半導体銘柄などを中心に相対的に大きく上昇しました。韓国も、主力の情報技術セクターの銘柄を中心に上昇しました。南アフリカは、金価格の上昇などを受けて素材セクターの銘柄を中心に上昇しました。インドは、金融セクターなどを中心に上昇しました。ただし、米ITサービス企業が業績見通しの下方修正を発表したことなどを受けて、情報技術セクターの銘柄が大きく下落したほか、2023年に資金流入が急拡大した中小型株式投信に対して、インド証券取引委員会(SEBI)が投資家保護の観点から規制強化の姿勢を示したことなどが重荷となり、上昇率は新興国の市場平均に比べると小幅にとどまりました。中国は、ハイテク関連銘柄が堅調であったほか、銅価格の上昇などが追い風となった素材銘柄を中心に上昇しましたが、全国人民代表大会(全人代)で、財政支出による景気下支えの方針が示されたものの、期待されたほどの規模ではなかったことや、人民元安に伴う資金流出懸念などが重荷となり、上昇率は小幅にとどまりました。ブラジルは、中国の需要減を背景とした鉄鉱石価格の下落を受けた主力の素材企業の株価下落や、特別配当を見送った国営石油大手企業の株価下落が大きく響き、全体でも下落となりました。
セクター別(現地通貨ベース)では、情報技術が大きく上昇したほか、素材やコミュニケーション・サービスも相対的に上昇率が大きくなりました。一方、不動産やヘルスケアは下落、エネルギーも低調となりました。
今後の見通し
長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。
新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあります。
東南アジアについては、アジアにおける製造拠点の分散化の流れなどから恩恵を受けると予想されます。また、これまでの利上げにより政策金利が高水準にあるインドネシアなどでは、利下げ転換の可能性もあるとみています。
南米では、メキシコは、米企業などの「ニアショアリング(事業拠点の近隣移転)」先として恩恵を受けると期待されます。また、ブラジルは依然として政策金利は高水準ですが、利下げを継続しています。
2024年の新興国における政治イベントでは、1月の台湾総統選挙は与党・民進党の頼氏が勝利して終えましたが、今後、韓国、インドなどで総選挙が実施される予定です。こうした政治イベントの動向を受けて、株式市場の値動きは大きくなる可能性もあり、注視が必要と考えます。
また、注目が集まっているAI(人工知能)の進展は、情報技術セクターの株価にプラス材料となりますが、特に台湾がその恩恵を受けるとみています。
世界経済の減速懸念が高まる一方、インドについては、足元の景気動向についても概ね良好で、長期的にも相対的に高い経済成長が期待できるとみています。しかし、バリュエーションは相対的に高水準で、銘柄選別が重要になると考えます。
中国は、不動産セクターや株式市場の下支えなどの景気刺激策を打ち出しています。しかし、先行き不透明感が残り、株価は不安定な動きが続くことも懸念されます。こうした中で、当局が打ち出す政策が、実体経済に効果をもたらすかを注視しつつ、分散投資を徹底していくことが重要であると考えます。
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)
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