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- 2024年4月の新興国株式市場と今後の見通し
4月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で上昇となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。
2024年4月の新興国株式市場
新興国株式市場は月前半、3月の米ISM製造業景況指数が市場予想に反し活動拡大を示したことや、その後発表された3月の米消費者物価指数(CPI)のコア指数が3ヵ月連続で市場予想を上回る伸びとなったことなどを受けて米長期金利が上昇したことに加えて、中東情勢の悪化などが重荷となり低調な推移となりました。月後半は、中東情勢の緊張緩和の兆しや、米ハイテク大手企業の好決算期待などから米ハイテク銘柄が反発したことを受けて、投資家のリスク回避姿勢が和らいだほか、中国の不動産市場の底打ち期待なども追い風となり、上昇基調に転じました。
主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)
国別では、中国は、当局が金融市場の支援政策を打ち出したほか、中国本土の不動産規制緩和の動きを受けて不動産市場の底打ち期待が高まったことなどがプラス材料となり、相対的に大きく上昇しました。南アフリカは、中東情勢の悪化を受けて金価格が上昇したことなどから金鉱株が上昇したほか、主力のインターネット銘柄が上昇したことなどがけん引し、上昇しました。インドは、需要拡大期待などから素材セクターの銘柄が上昇したほか、好決算期待が高まる自動車銘柄や予想を上回る決算を発表した銀行銘柄などを中心に上昇しました。ブラジルは、金融セクターをはじめ内需関連銘柄が低調であったことから下落しました。台湾は、月初に発生した大地震の影響が懸念されたほか、大手半導体企業が世界の半導体市場の見通しを下方修正したことを受けて、大きく下落する局面があり、月間でも相対的に低調となりました。韓国は、総選挙で与党が敗北し、市場改革が停滞するとの懸念が高まったほか、主力の情報技術セクターの下落が響き、相対的に下落率が大きくなりました。
セクター別(現地通貨ベース)では、コミュニケーション・サービス、一般消費財・サービスが相対的に大きく上昇したほか、公益事業なども上昇しました。一方、情報技術やヘルスケアは下落し、生活必需品や金融も相対的に低調でした。
今後の見通し
長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。
新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあります。
2024年の新興国における政治イベントでは、1月の台湾総統選挙は与党・民進党の頼氏が勝利して終え、韓国の総選挙では与党が敗北する結果となりました。インドでは総選挙の投票が始まり、今後、南アフリカの総選挙、メキシコの大統領選挙などが控えています。こうした政治イベントの動向を受けて、株式市場の値動きは大きくなる可能性もあり、注視が必要と考えます。
東南アジアについては、アジアにおける製造拠点の分散化の流れなどから恩恵を受けると予想されます。
南米では、メキシコは、米企業などの「ニアショアリング(事業拠点の近隣移転)」先として恩恵を受けると期待されます。また、ブラジルの利下げサイクルは、景気下支えに向けて想定以上に長期化する可能性があるとみています。
また、注目が集まっているAI(人工知能)の進展は、情報技術セクターの株価にプラス材料となりますが、特に台湾がその恩恵を受けるとみています。
世界経済の減速懸念が高まる一方、インドについては、足元の景気動向についても概ね良好で、長期的にも相対的に高い経済成長が期待できるとみています。しかし、バリュエーションは相対的に高水準で、銘柄選別が重要になると考えます。
中国は、不動産セクターや株式市場の下支えなどの景気刺激策を打ち出しています。しかし、先行き不透明感が残り、株価は不安定な動きが続くことも懸念されます。こうした中で、当局が打ち出す政策が、実体経済に効果をもたらすかを注視しつつ、分散投資を徹底していくことが重要であると考えます。
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)
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