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- 新興国社債市場の振り返りと見通し(2024年4月)
2024年4月の新興国社債市場の振り返りと今後の展望について、ピクテの新興国債券投資チームがまとめました。
市場概況
2024年4月の株式市場は、年初の好調なスタートから一転し、極めて軟調な展開となりました。米国経済の底堅さを示唆する経済指標の発表が相次いだことが嫌気されたものと考えます。4月初旬には、3月のISM製造業景況感指数が、2022年10月以来一年半ぶりに、好・不況の節目とされる50を上回った他、ISM仕入価格指数も2022年7月以来の水準を更新しました。また3月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比30万3,000人増と事前予想を大きく上回り、消費者物価指数(CPI)コア指数は、3ヵ月連続の前月比+0.4%となりました。従って、1月と2月の数字は、季節要因による一時的な上振れに過ぎないとの見方は、一層受け入れがたいものとなり、米10年国債利回りの一日の変動幅は、2022年9月以来の最大を記録しました。2024年4月末の利回りは、前月末の水準を48ベーシス・ポイント上回る4.68%となりました。
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を巡って、投資家の金利高止まり観測が強まる中、先進国の主要中銀が制約を受ける可能性も否めませんが、新興国ではディスインフレ基調が概ね維持されており、特に中南米で利下げが相次ぎました。
米国国債市場の下落の影響は新興国社債市場にも及び、スプレッドは縮小したものの、リターンを下押しました。2024年4月の月間トータル・リターンは、JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数が-0.9%(スプレッドは+0.7%)、米国国債が-1.6%となりました。
*データ出所:JPモルガン
市場展望
新興国社債市場は、米国国債市場の動揺にもかかわらず、ここ数週間持ち堪えており、高格付け社債のスプレッドは過去のレンジの割高水準に留まりました。
この間、企業ファンダメンタルズ(基礎的条件)は、概ね良好で、四半期決算からは、2023年下期の業績が同上期から改善していることが示唆されており、2024年の増収率がプラスに転じる態勢を整えたように思われます。年初来、先進国、新興国ともに経済成長率が上方修正されてきたことも寄与したはずです。
多くの商品価格の上昇、テクノロジー・セクターおよび半導体需要の回復、旅行、消費財、ゲーム等への旺盛な需要が関連セクターに追い風をもたらしていますが、恩恵を受けている企業の多くはアジア企業です。
米ドル建て新興国債券ファンドへの資金流入は低調ながら、需給面も良好です。新興国社債の4月の新規発行額は310億米ドルとなり、年初来では1,400億米ドルとなりました。一方、満期の元本償還および利払い、期限前繰り上げ償還、入札等によってキャッシュフローが増加し、ネットの資金調達額は減少しました。中国企業の社債発行の低迷も、その一因となりました。
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