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中国債券市場の振り返りと見通し(2024年4月)
2024/05/21

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概要

2024年4月の中国債券市場の振り返りと今後の展望について、ピクテの新興国債券投資チームがまとめました。



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市場概況

2024年4月の株式市場は、年初の好調なスタートから一転し、極めて軟調な展開となりました。米国経済の底堅さを示唆する、経済指標の発表が相次いだことが嫌気されたものと考えます。3月の消費者物価指数(CPI)コア指数は、3ヵ月連続の前月比+0.4%となったことから、1月と2月の数字は季節要因による一時的な上振れに過ぎないとの見方は、一層受け入れがたいものとなり、米10年国債利回りの一日の変動幅は、2022年9月以来で最大となりました。2024年4月末の利回りは、前月末の水準を48ベーシス・ポイント上回る4.68%となりました。

中国の経済指標は、米国と同様に引き続き良好です。4月の製造業購買担当者指数(PMI)は、輸出に支えられた経済活動の拡大を示唆するものとなりました。一方、物価は伸びの鈍化が続き、3月のCPIは前年同月比+0.1%と事前予想を下回りました。

4月末には、中国共産党中央政治局会議に注目が集まりました。当局は政策の継続性と、今後数四半期間の経済失速の回避の必要性を強調しました。また、「新しい発展」ならびに「質の高い成長」が、引き続き政策指針の重要目標であることが確認されました。

 国内債券市場では、オフショア市場との相関が薄れる状況が続き、前月とほぼ変わらずの水準で月末を迎えました。5年債利回りは、2.06%近辺まで低下した後、2.17%まで上昇しました。社債市場でも、スプレッドの縮小が続き、ブルームバーグ中国総合債券指数(ヘッジなし、人民元ベース)の4月のリターンは+0.47%と、2ヵ月連続で上昇しました。


市場展望

足元発表の指標は、中国経済が4-6月期入り後も成長の勢いを維持していることを示唆しています。もっとも、4-6月期を通じてみると、前期比では若干、減速する可能性があるかもしれません。

中国経済のファンダメンタルズは比較的安定していることから、目先は市場の需給動向に注目していきたいと考えます。


通貨については、円安が続く中で人民元の急落の可能性は低いと考えるものの、緩やかな人民元安の可能性はあり得るとみています。トレンドベースでは、人民元は対円で増価基調を辿っているものの、一部の分野では、日本の輸出品に対する市場シェアを拡大していることから、中央銀行(PBOC)は人民元の対円レートをさほど懸念していないように思われます。


国内社債のスプレッドは、縮小基調が続きました。3年物投資適格社債のスプレッドは、40ベーシス・ポイント(0.4%)と、数年振りの割高水準に迫っているものの、もう一段の縮小の可能性もあり得るとみています。

 


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