- Article Title
- 中国債券市場の振り返りと見通し(2024年4月)
2024年4月の中国債券市場の振り返りと今後の展望について、ピクテの新興国債券投資チームがまとめました。
市場概況
2024年4月の株式市場は、年初の好調なスタートから一転し、極めて軟調な展開となりました。米国経済の底堅さを示唆する、経済指標の発表が相次いだことが嫌気されたものと考えます。3月の消費者物価指数(CPI)コア指数は、3ヵ月連続の前月比+0.4%となったことから、1月と2月の数字は季節要因による一時的な上振れに過ぎないとの見方は、一層受け入れがたいものとなり、米10年国債利回りの一日の変動幅は、2022年9月以来で最大となりました。2024年4月末の利回りは、前月末の水準を48ベーシス・ポイント上回る4.68%となりました。
中国の経済指標は、米国と同様に引き続き良好です。4月の製造業購買担当者指数(PMI)は、輸出に支えられた経済活動の拡大を示唆するものとなりました。一方、物価は伸びの鈍化が続き、3月のCPIは前年同月比+0.1%と事前予想を下回りました。
4月末には、中国共産党中央政治局会議に注目が集まりました。当局は政策の継続性と、今後数四半期間の経済失速の回避の必要性を強調しました。また、「新しい発展」ならびに「質の高い成長」が、引き続き政策指針の重要目標であることが確認されました。
国内債券市場では、オフショア市場との相関が薄れる状況が続き、前月とほぼ変わらずの水準で月末を迎えました。5年債利回りは、2.06%近辺まで低下した後、2.17%まで上昇しました。社債市場でも、スプレッドの縮小が続き、ブルームバーグ中国総合債券指数(ヘッジなし、人民元ベース)の4月のリターンは+0.47%と、2ヵ月連続で上昇しました。
市場展望
足元発表の指標は、中国経済が4-6月期入り後も成長の勢いを維持していることを示唆しています。もっとも、4-6月期を通じてみると、前期比では若干、減速する可能性があるかもしれません。
中国経済のファンダメンタルズは比較的安定していることから、目先は市場の需給動向に注目していきたいと考えます。
通貨については、円安が続く中で人民元の急落の可能性は低いと考えるものの、緩やかな人民元安の可能性はあり得るとみています。トレンドベースでは、人民元は対円で増価基調を辿っているものの、一部の分野では、日本の輸出品に対する市場シェアを拡大していることから、中央銀行(PBOC)は人民元の対円レートをさほど懸念していないように思われます。
国内社債のスプレッドは、縮小基調が続きました。3年物投資適格社債のスプレッドは、40ベーシス・ポイント(0.4%)と、数年振りの割高水準に迫っているものの、もう一段の縮小の可能性もあり得るとみています。
当資料をご利用にあたっての注意事項等
●当資料はピクテ・グループの海外拠点からの情報提供に基づき、ピクテ・ジャパン株式会社が翻訳・編集し、作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。