Interview 3
笹岡啓子
Keiko Sasaoka
第2回Prix Pictet Japan Award(2017)
ファイナリスト
Artist Interview
2011年3月 東日本大震災
2011年3月 東日本大震災
2011年3月 東日本大震災
この作品は「Remembrance」というシリーズで東日本大震災の被災地域、岩手県、宮城県、福島県を中心に2011年4月、震災の1ヵ月後から撮り始めたものです。現在も継続し撮り続けています。
当初は展示だけではなく小冊子としてスタートしたプロジェクトでした。手に取りやすい冊子で、より早く、より遠くに、後々にも残っていく、残って欲しいという想いで冊子の刊行と同時に展示をするというプロジェクトを始めました。
©︎Keiko Sasaoka Remembrance
Remembrance
「Remembrance」には「記憶」「想起」という意味だけではなく、進行形の意味「憶え続ける」「想い出し続ける」という意味があると知り、その思いを込め、このタイトルにしました。
被災地は地域によって差はあるのですが復興が進んできています。その復興の過程で整理されていくもの、排除されていくもの、抑圧されていくもの、あるいは隠されていくものもあるのですが、そういったものを外部の人間として継続的に撮ることで、将来そういった隠されてしまったものを知る手がかりになるのではないかと思っています。
Remembrance
©︎Keiko Sasaoka Remembrance
小冊子へのこだわり
小冊子へのこだわり
小冊子は2年間で41号作り、いったん終了としました。それまで放置されていた福島で除染が始まったのを見たときに、これは今始まったばかりでこれから長く続くものだと思い、一旦終了としました。
今は「Shoreline(海岸線)」というタイトルで被災地域のみでなく日本各地の海、海岸線や海の記憶を持つ場所に範囲を広め、やはり小冊子を作っています。
私は広島出身で広島も継続的に撮影しています。その作品を作る中で、やはり被爆直後もしくはそれ以前の古い写真がぼろぼろになっても残されていて、それを現在も私たちが見ることができる、ということは奇跡的なことだと強く思った経験がありました。残していくために、しっかりまとめた写真集という形ではなく、継続性があり、安価で誰にでも手に取りやすい小冊子をいろいろなところに拡散できたら、という思いがあります。
2018年12月12日
代官山 ヒルサイドフォーラムにてインタビュー