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- 物価上昇時に公益株式に注目する理由とは
1998年以降で米国政策金利が据え置きあるいは引き上げられている局面では、物価が上昇傾向にあり、世界公益株式は株式市場全体とともに上昇する傾向が見られました。規制下の公益事業では物価上昇は公益企業の収益にプラスとなる傾向があります。過去の実績では、米国の物価上昇率が3%以上となる局面では世界公益株式は相対的に世界株式よりも株価の上昇率が高くなる傾向が見られました。
物価上昇の兆し
コロナショックを受けるなか、商品市況は全般的に好調で、木材や銅、鉄鉱石など様々な商品価格が大きく上昇し、米国の消費者物価指数も上昇しています。
この背景には、新型コロナウイルス感染拡大の経済的打撃への対応策として2020年に各国‧地域の政府および中央銀行が積極的な財政政策や金融緩和策を実施したこと、2021年に入ると新型コロナウイルスのワクチン接種が進展したことに加え、米バイデン政権による追加的な大規模財政政策などを背景に世界的な景気回復期待が大きく高まったことなどがあげられます。また新型コロナウイルスの感染拡大による世界的なサプライチェーンの混乱なども物価上昇に拍車をかけました。木材市場については、コロナ禍で在宅勤務の広がりなどにより住宅取得ニーズが高まったことなどが木材価格高騰の要因となりました。
こうしたなか、2021年4月の米国の物価上昇率(米国消費者物価指数総合)は、前年同月比で4.2%上昇と2008年以来の高い伸びとなり、5月も同5.0%と市場予想の4.7%を上回る上昇率となりました。※ブルームバーグ集計市場予想(2021年6月9日現在)
米国物価上昇率と世界公益株式パフォーマンス
コロナショック後の経済の正常化とともに、米国では物価が上昇し、金融政策変更の可能性が議論されています。1998年以降の実績では世界公益株式は金利が急上昇する局面では一時的に調整しましたが、米国政策金利が据え置きあるいは引き上げられている局面を通してみると、物価が上昇するなか、株式市場全体とともに世界の公益株式は上昇する傾向が見られました。
米国の例でみると、1930年以降の実績では1970年代のオイルショック時を除いてみると、金融緩和による流動性供給の拡大は物価上昇圧力となり、物価が上昇しています。現在、金融緩和策により、流動性供給は1943年8月以来の最高水準に達しており、物価上昇圧力が高い状況にあると考えられます。
過去の実績では物価上昇は公益株式にプラスに寄与
公益企業の収益のもととなる、公共料金の設定のしくみは国や地域によって異なりますが、米国の規制下の電力料金の決定の例を簡略化してみると、電力料金はその企業の持つ設備(有形固定資産)の金額に長期金利に連動するレートを掛け、それに燃料費などのコストを加えて決定されます。したがって、これらの要素は物価上昇時に公益企業の増収増益要因となる仕組みになっています(下図参照)。
世界公益株式の騰落率と米国の物価上昇率の関係をみると、過去の実績(2000年4月末~2021年4月末)では、公益株式は、物価上昇率が高いほど、世界株式を上回って上昇する傾向がみられました(下図参照)。
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