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米国株式市場で話題のミーム(meme)銘柄が再び急騰
田中 純平
2021/05/31

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概要

米国株式市場ではミーム(meme)銘柄が再び注目を集めている。ミーム銘柄は、①SNS上で話題になったことをきっかけに、②出来高の急増を伴いながら、③株価が短期間で急騰する、④空売り比率が高い米国小型株が主に該当する。このミーム銘柄のボラティリティ(変動率)はあまりにも高いため、一般的な株式よりも投機色が強くなることを十分認識する必要がある。



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ミーム銘柄が急騰した背景は?

先週1週間(5月21日~28日(終値ベース))でミーム銘柄の代表格であるゲームソフト小売大手のゲームストップ株は約26%上昇、映画館を運営するAMCエンターテイメント株は約116%も上昇した。ゲームストップ株は今年1月のReddit(レディット)騒動時の高値は超えなかったが、AMCエンターテイメント株はその高値を大幅に上回った(図表1)。

ミーム銘柄はボラティリティが高く投機色が非常に強いため、株価が急騰した理由をファンダメンタルズに求めてもあまり意味が無い。むしろ、個人投資家のまとまった投資マネーが空売り比率の高いミーム銘柄に集中し、ガンマ・スクイーズを引き起こしたと見るのが自然だろう(ガンマ・スクイーズについては、2021年1月29日付けのディープ・インサイト・レポートを参照)。

それではミーム銘柄のボラティリティは、代表的なアセットクラスと比較してどれほど高いのだろうか?図表2はMSCI先進国株指数、ビットコイン、ミーム銘柄における過去3年間のリスク値(年率)を比較したものだ。ご覧のように、ゲームストップ株やAMCエンターテイメント株のリスク値はMSCI先進国株指数と比較して突出して高く、さらに同様に投機色が強いとされるビットコインよりもはるかに高いことが分かる。

ミーム銘柄の急騰をファンダメンタルズの観点から語れない理由

ミーム銘柄の急騰をファンダメンタルズの観点から語れない理由は、AMCエンターテイメントの業績見通しを見れば明らかだ。図表3はAMCエンターテイメントの市場予想EPS(1株あたり利益)を示したものだが、2023年まで赤字予想となっている(市場予想は5人のアナリスト予想の平均値から算出されている)。株価の急騰が示すほど業績見通しが劇的に改善していないのであれば、(破格の買収提案でもない限り)投機を疑ってしかるべきだろう。

どの銘柄を買付けるかは市場参加者の自由だが、自分が「投資家」なのか、それとも「投機家」なのか、自問自答してみる良い機会かもしれない。

個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。


田中 純平
ピクテ・ジャパン株式会社
ストラテジスト

日系運用会社に入社後、主に世界株式を対象としたファンドのアクティブ・ファンドマネージャーとして約14年間運用に従事。北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードの受賞経験を誇る。ピクテ入社後はストラテジストとして主に世界株式市場の投資戦略等を担う。ピクテのハウス・ビューを策定するピクテ・ストラテジー・ユニット(PSU)の参加メンバー。2019年より日経CNBC「朝エクスプレス」に出演、2023年よりテレビ東京「Newsモーニングサテライト」に出演。さらに、2023年からは週刊エコノミスト「THE MARKET」で連載。日本経済新聞やブルームバーグではコメントが多数引用されるなど、メディアでの情報発信も積極的に行う。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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