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- FRBの利上げは世界株にとってマイナスなのか?
先進国株式市場では主にFRBによる利上げ前倒し/保有資産の早期縮小観測を背景に年初来で軟調な展開となっているが、逆にインド株やブラジル株は上昇するなど、FRBの金融引締政策が必ずしも世界株共通の売り材料とはなっていない。むしろ、前回のFRBの利上げ局面における経験則に従えば、「金融引締→株安」局面は短期的な事象にとどまる可能性がある。
FRBの利上げ前倒し観測等で主要各国地域の株価指数は年初来で軟調推移
2021年は世界的に大規模な財政支出や主要中央銀行による流動性供給等が行われた結果、主要各国地域における株価指数は先進国株を中心に好調な株価騰落率となった。しかし、年初来では主にFRB(米国連邦準備制度理事会)による利上げ前倒し/保有資産の早期縮小観測を背景に軟調に推移している(図表1)。
だが、これはあくまで先進国株における状況だ。新興国株に目を向ければ、中国A株は(そもそもFRBの金融政策ではなく)「共同富裕」による不動産業界やIT業界の締付けによって21年の株価騰落率は低迷し、年初来のパフォーマンスも下落が目立っている。また、ブラジル株はブラジル国内の政治リスク(放漫財政)や物価急騰(急激な利上げ)が嫌気されるかたちで21年は通年で下落しており、年初来ではその反動からやや上昇傾向となっている。さらに、インド株は21年に続いて年初来でも続伸する展開となっている。FRBの利上げによって新興国から投資資金が流出し、新興国株式市場は低迷しやすいと一般的には考えられているが、(短期間ではあるものの)年初来の値動きを見る限りそのような一貫した方向感は見られない。
一方、21年における通貨別騰落率では、円の独歩安が顕著となった(図表2)。日本経済の低成長と低インフレに伴う内外金利差の拡大、原油高による貿易収支悪化、さらには先進国株式市場における「リスクオン」などが円安要因として挙げられるが、年初来ではやや円高基調となっている。
喉元過ぎれば熱さを忘れる?
FRBによる利上げ前倒しによる先進国株の株安圧力は、過去の経験則に照らし合わせれば短期的な事象にとどまる可能性がある。前回のFRBの利上げ局面(2015年12月~2018年12月)における株価騰落率は(中国A株以外)株高となっていた(図表3)。先進国株だけでなく、新興国株でも同様の傾向となっていた点は特筆に値する。一方、通貨については円高傾向となっており、今年の年初来の方向感と概ね一致する。
当面はFRBによる金融政策方針が十分織り込まれるまで特に先進国株市場は不安定な相場展開が予想されるが、その後は過去の経験則のように「喉元過ぎれば熱さを忘れる」状態へ変化する可能性も想定すべきだろう。
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