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- 米住宅価格高騰が家賃上昇を誘発 米国CPIの行く末は?
米国では住宅ローン金利や住宅価格の上昇等によって、持ち家購入を断念して賃貸を選択する人が増えていると考えられる。しかし、賃貸市場における空室在庫は2009年ごろをピークに年々減少傾向にあることから、賃貸需要の高まりが家賃上昇に直結しやすい構造になっている。米国CPIの約3割を占める「帰属家賃」と「家賃」がCPI全体の命運を左右する可能性がある。
米国CPIの約3割を構成する帰属家賃と家賃の上昇率が加速
7月13日(水)に発表された6月米国消費者物価指数(CPI)は前年同月比+9.1%と市場予想の同+8.8%を上回り、前月の同+8.6%からさらに加速した。変動の激しい「食品」(同+10.4%)や「エネルギー」(同+41.6%)は依然として高い上昇率となったが、その一方で米国CPIのおよそ3割を占める「帰属家賃」と「家賃」の上昇率がさらに加速した点も見逃せない(図表1)。
「帰属家賃」とは、持ち家を保有する人がその家を借家だと仮定した場合に払うであろう想定家賃を算出したものだ。この「帰属家賃」は6月に前年同月比+5.5%となり5月の同+5.1%から加速、「家賃」も6月は同+5.8%と5月の同+5.2%から同様に加速した(図表2)。
原油や天然ガス、小麦やとうもろこしなど、一部の国際商品(コモディティ)先物価格は高値からすでに下落していることから、CPIにおける「エネルギー」や「食品」の上昇率についても、いずれピークアウトすることが市場では期待されている。しかし、CPIの構成比率が「エネルギー」や「食品」よりも高い「帰属家賃」+「家賃」が目立って減速しなければ、CPIは米国連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ目標である2%よりも高い水準で高止まりとなってしまう。
住宅ローン金利や住宅価格の上昇が賃貸需要を押し上げ
米国の住宅ローン金利(30年固定)は今年に入ってから急ピッチで上昇しており、住宅ローンを借り入れるハードルがますます高くなっている(図表3)。そして、さらに追い討ちをかけているのが住宅販売価格の高騰だ。新築住宅市場よりも市場規模が大きい中古住宅市場では、中古住宅販売価格の騰落率が5月時点で前年同月比+14.8%と、引き続き2桁台の高い伸び率を示した。このため、持ち家購入を断念して賃貸を選択する人が続出したと考えられる。
しかし、米国の賃貸市場における空室在庫は2009年ごろをピークに年々減少傾向にあり、賃貸需要の高まりが家賃上昇に直結しやすい構造になっている。住居は生活の基礎となる「衣・食・住」を構成する3大要素の1つなだけに、嗜好品のように簡単に支出を手控えるわけにもいかない。景気の失速以外に、家賃上昇を抑制する即効性のある手段は限定的だろう。
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