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- 「炭鉱のカナリア」か?米国株全体の業績見通しに先行する指標
米国株式市場では引き続きFRBによる積極的な金融引き締め観測が嫌気される展開となり、9月27日のS&P500指数はザラ場で年初来安値を更新した。足元ではバリュエーションが低下することで株式市場が下落する「逆金融相場」が継続中だが、今後は利益見通しが減少することで株式市場が下落する「逆業績相場」にも警戒が必要だ。
主要な米国大型株において業績不振が目立ち始めた
米国株式市場では、①8月26日のジャクソンホール会議におけるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派コメント、②9月13日に発表された市場予想を上回る米消費者物価指数(CPI)、③9月21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表されたドットチャート(FOMC参加メンバーの政策金利予測)の上方修正等が嫌気され、S&P500指数は今年6月17日のザラ場でつけた年初来安値(3636.87)を9月27日に更新する展開となった(図表1)。
米国株式市場では、前述した3つの要因を背景に米10年実質金利が上昇したことなどから、バリュエーションが低下することで株式市場が下落する「逆金融相場」が継続中だ。一方で、予想1株当たり利益(EPS)については依然として顕著な下方修正は見られないため、利益が減少することで株式市場が下落する「逆業績相場」とはなっていない。しかし、個別企業に目を向けると、足元では主要な米国大型株において業績不振が目立ち始めている。
市場関係者の注目を集めたのは米フェデックスだ。同社は6-8月期暫定決算が市場予想を大幅に下回り、23年5月通期の利益見通しも撤回したことなどから、9月16日の株価は前日比で21.4%下落した。また、米アップルは9月28日に「iPhone14」の増産計画を断念すると報じられたことから、株価は軟調に推移した。さらに、米ナイキも6-8月期決算が市場予想を下回ったうえ、在庫が前年同期比44%増となったことなどが嫌気され、9月30日の株価は前日比で12.8%下落した(図表2)。
フェデックス株の市場予想EPSは、S&P500指数の市場予想EPSに先行する傾向
今後、特に注意が必要なのはフェデックス株における市場予想EPSの下方修正だ(図表3)。
フェデックスはグローバルに配送サービスを手掛けているため、景気先行性が高い事業を運営していると考えられる。そのため、2000年代以降で見ると、フェデックス株の市場予想EPSの下方修正は、S&P500指数における市場予想EPSの下方修正に先行する傾向が見て取れた(2020年は新型コロナウイルスのパンデミックによる影響でS&P500指数の市場予想EPSは急落したが、パンデミックが無かったとしても景気は減速しつつあったことがうかがえる)。
「逆金融相場」から「逆業績相場」への移行は時間の問題とも言えるだろう。
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