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- FRB 利上げは2022年まで
9月の雇用統計は米国の労働市場が引き続き堅調であることを示した。FRBは年内2回のFOMCで75bp、50bpの利上げを行う可能性が高まっている。もっとも、原油価格が80~90ドル/bblで推移すれば、エネルギーが消費者物価に与える影響は年明けに概ね中立になるだろう。FRBによる利上げは年内で峠を越え、2023年は4%台のFFレートが維持されるのではないか。
9月雇用統計:米国の労働市場の逼迫を示す
10月7日に発表された9月の雇用統計は、概ね市場の予想通りだった。米国の労働市場が引き続き堅調であることを示す内容だったと言えるだろう。重要なポイントは、15~64歳の生産人口が前月に比べ23万人増加したにも関わらず、労働力人口が6万人減少したことではないか。一方で就業者は20万人増加したことから、失業者は26万人減少、失業率は前月比0.2ポイント低下の3.5%になった(図表1)。
求人数が8月時点で依然として1千万人を超えるなか、非労働力人口から労働力人口へのシフトがないと、雇用の逼迫感は緩和されないだろう。9月の平均時給は前年同月比5.0%上昇したが、当面は賃上げ率が高止まりしそうだ。
3月以降、FRBが急速な利上げを続けていることにより、米国ではリセッションへの警戒感が強まっている。もっとも、歴史を振り返れば、米国景気が深刻な後退局面を迎えたのは、ほぼ例外なく失業率が急上昇したケースだ。雇用への不安が消費を失速させた結果だった。
8月の自発的失業者は416万人であり、15ヶ月連続で400万人を超えている。求人が旺盛であるため、より良い処遇を求めて労働省のターンオーバーは高水準だ。事業主は賃上げによる人材確保への努力を続けざるを得ないだろう。堅調な雇用を背景に、11、12月のFOMCにおいて、FRBがそれぞれ75bp、50bpの利上げを行う可能性が一段と強まった。
FRBの金融政策:利上げは年内で峠を越えそうだが・・・
10月5日に開催された市場価格監視委員会(JMMC)において、OPECプラスは日量200万bblの減産を決めた。もっとも、これは油価の下落に歯止めを掛けることが目的であり、原油価格を大きく押し上げる力はないだろう。WTI先物価格が80~90ドル/bblで落ち着けば、2023年の年明けにもエネルギーが米国の物価に与える影響は概ね中立になる(図表2)。
結果として、FRBによる利上げは年内で峠を越えるのではないか。ただし、高い賃上げ率によりサービスを中心として消費者物価は4%台の上昇が続くものと見られる。従って、早期に利下げが行われる可能性も低いだろう。
1991年12月に旧ソ連が崩壊して以降、30年間に亘って米国における消費者物価上昇率は年平均2.2%と極めて安定していた。グローバリゼーションの下、サプライチェーンの統合が進み、中国、ASEAN諸国、メキシコなど労働コストの低い新興国産の製品が米国に流入したからだ。
しかしながら、国際社会は分断の時代に突入した。適地生産が難しくなったことから、世界的にインフレ圧力が生じている。米国の消費者物価は「安定の30年間」と比べて高止まりの状態が続く可能性が強い。市場がこのシナリオを織り込む場合、長期金利は水準訂正を迫られ、10年国債利回りが5%を超えても不思議ではないだろう。
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