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- FRB、ECB、日銀の注目点
先週1週間(7月24日~28日)は、米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀の金融政策決定会合が同じ週に開催される「中銀ウィーク」となった。本レポートでは、主要3中銀の金融政策や総裁会見の注目点に関して、ポイントを絞って考察する。
FRBは9月の利上げに関して「データ次第」と強調
米連邦準備制度理事会(FRB)は、7月26日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決定した。利上げは市場コンセンサス通りだった(図表1)。
FRBは6月FOMCの段階で年内2回の追加利上げを示唆していたが、7月FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長は、9月の利上げの可能性について「データ次第」であることを強調した。7月は米国経済の堅調さを示す経済指標が相次いで発表されたことから、FRBは7月のFOMCでタカ派トーンを崩さないだろうと、一部の市場関係者は身構えていた。しかし、FOMCの結果は警戒されていたほどタカ派的では無かった。市場では利上げ打ち止め観測が高まり、NYダウは上昇する展開となった(図表2)。
その一方で、気になる点もある。9月の利上げが「データ次第」であるならば、9月のFOMCまでに発表される経済指標によっては、今後の政策金利のシナリオが崩れる可能性は残る。また、パウエルFRB議長は、FRBスタッフがもはや景気後退を予測していないことを7月FOMC後の記者会見で明らかにしたが、政策金利の見通しが「データ次第」ならば、景気見通しも「データ次第」とすべきではないだろうか?その点、米国株式市場はやや先走った印象を受ける。
ECBもFRBと歩調を合わせる
7月27日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会でも、市場予想通り0.25%の利上げが決定した。ラガルドECB総裁は理事会後の記者会見で、9月の利上げは「データ次第」であることを強調し、FRBと歩調を合わせたかのような会見となった。しかし、ECBの総資産に目を向けると、明らかにFRBのそれとは状況が異なる。
ECBの総資産がピークをつけたのは22年6月24日時点で約8.8兆ユーロ、直近は23年7月21日時点で約7.2兆ユーロとなっており、約18%も減少している(図表3)。
一方、FRBの総資産がピークをつけたのが22年4月13日時点の約9.0兆ドル、直近は23年7月26日時点の約8.2兆ドルであり、FRBの総資産は約9%の減少にとどまっている。ECB総資産は貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の償還等が減少につながっており、流動性の観点ではFRBよりもECBの方が影響が大きい。欧州株式市場の先行きを占ううえでは、ECB総資産の減少ペースにも目を向ける必要があるだろう。
日銀のYCC柔軟化は金融正常化への一歩か?
7月28日に開催された日銀金融政策決定会合後の記者会見で、植田総裁はイールド・カーブ・コントロール(YCC)の柔軟化(長期金利の変動幅±0.5%程度、10年物国債金利は1.0%の利回りで指値オペ)について、「正常化へ歩み出すという動きではない」と強調した。しかし、2年物国債金利は7月31日、これまでのマイナスから0%台まで上昇したことから、少なくとも国債市場ではYCCの柔軟化が「正常化への一歩」と捉えられた可能性がある(図表4)。
為替はひとまず米ドル高・円安方向で反応したが、日銀がYCCの副作用として為替市場のボラティリティを例示したことも考慮すると、為替の方向性が一辺倒になるとは限らないだろう(図表5)。
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