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- エヌビディア決算上振れもジャクソンホールが重しに
8月23日引け後に発表された注目のエヌビディア決算及び売上高ガイダンスは、時価総額1兆ドルを超す超大型株としては異例のポジティブ・サプライズとなったが、翌日の株価は終値で前日比0.1%高にとどまった。市場の関心はジャクソンホール会議におけるパウエルFRB議長の発言に移っている。
エヌビディア決算サプライズは不発
8月23日(水)引け後に発表されたエヌビディアの決算は、大方の予想をはるかに上回る結果となった。23年5-7月期の調整後1株当たり利益(EPS)は$2.700となり、市場予想の$2.074を30.2%も上回った。前回の23年2-4月期決算時におけるEPSサプライズが18.6%(実績$1.090、市場予想$0.919)だったことから、今回はそれを優に超えたことになる。
また、決算発表で同時に示された23年8-10月期の売上高ガイダンスは160億ドル±2%となり、市場予想の125億ドルを28.0%も上回った。決算発表前に期待値が高まっていたことを考慮すれば、今回の決算サプライズも前回同様、申し分無かったと言えるだろう。
しかし、株価の反応は真逆だった。前回の決算が発表された翌日(5月25日)のエヌビディア株は終値で前日比24.4%高となったが、今回(8月24日)はわずか同0.1%高にとどまった。また、株式市場全体も軟調に推移し、S&P500指数は同1.3%安となった。好決算を見越して前日の8月23日にはエヌビディアの株価は同3.2%高、S&P500指数も同1.1%高になっていたとは言え、エヌビディアの決算上振れを期待していた投資家からしてみれば肩透かしを食らった格好だろう。なぜ、エヌビディアの決算サプライズは不発に終わったのだろうか?
市場の関心はジャクソンホール会議
8月25日(金)にはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がジャクソンホール会議で講演を行う。テーマは「世界経済の構造転換」だ。市場関係者は、パウエルFRB議長からタカ派的なメッセージが発せられる可能性を警戒している。中でも注目されているのが中立金利の議論だ。
中立金利は景気を加速も減速もさせない中立的な金利水準を指す。ニューヨーク連銀のエコノミストらが、8月9日~10日にかけてこの中立金利に関する論文を発表したことから、パウエル議長もジャクソンホール会議で中立金利に言及するのではないかとの憶測が広がっている。
仮に中立金利が上昇したことを示唆すれば更なる利上げが正当化され、米長期金利に対しても上昇圧力がかかることになる。エヌビディア株で利益確定売りが広がったのも、成長株にとって天敵の長期金利の上昇を警戒したものと言えるだろう。
はたしてパウエル議長は中立金利に言及するのだろうか?パウエル議長は今年3月の議会証言で中立金利の水準に関して「正直に言って我々には分からない」と発言している。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は今年5月、「非常に低い自然利子率(中立金利)の時代が終わった証拠はない」とも指摘した。論争を呼ぶ中立金利を、あえてジャクソンホールの場で持ち出すインセンティブはあまり無いようにも思われる。
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