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- 金価格は利上げサイクル終了前後から上昇する傾向
2000年以降、金価格は米政策金利の利上げサイクル終了前後の時期から上昇する傾向にあった。また、その動きとは逆にそのサイクル終了前後の時期に世界株式は本格調整期を迎えた。その利上げサイクル終了の時期は金融政策当局者の金利見通しや市場予想から近づいてきていると考える。
2000年以降、金価格は米利上げサイクルの終了前後から上昇する傾向に
2000年以降、金価格は米政策金利の利上げサイクル終了前後の時期から上昇する傾向にあった(図表1参照) 。また、リーマンショック以降では、金価格の上昇は、政策金利の動向を反映するとされる米2年国債利回りがボトムアウトするまで続く傾向があった。
一方で世界株式は利上げサイクル終了前後の時期に本格調整期を迎えるケースが見受けられた(図表1の期間①~③の前後にある本格調整期参照)。
世界株式の本格調整期は金価格にとり質への逃避による資金流入で金価格上昇要因となる上、政策金利の引き下げは、金利を生まない資産である金にとり、相対的な魅力が増加することでプラス要因にもなる。
金融政策当局者の経済見通しは、23年末から24年にかけての利上げサイクルの終了を示唆
米連邦準備制度理事会(FRB)は2023年9月19-20日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場予想通り、政策金利にあたるフェデラル・ファンド(FF)金利を据え置いた。9月のFOMC参加者の経済見通し(中央値)を見ると、23年末のFF金利見通しは5.6%と、あと1回の利上げを示唆しており6月から変化はなかった。一方で、24年、25年末のFF金利については、それぞれ5.1%、3.9%と政策金利の引き下げが実施される見通しとなっている。つまり金融政策当局者の見通しの中央値は、23年末から24年にかけてどこかで利上げサイクルが終了することを示唆している。
市場参加者は、24年1月の政策金利予想が最高水準に
FF金利先物が織り込む市場参加者の予想は(23年10月19日時点)、24年1月FOMC時点の政策金利予想が最高水準となっている(図表3参照)。ただし、その時点においても予想されている利上げ回数は0.4回(0.25%を1回と想定)相当となっている。今後の経済成長率やインフレ関連の経済統計によりこの見通しは変化する可能性は十分にあるものの、すでに利上げサイクルの最終局面にあると考えることはできよう。
もしすでに利上げサイクル終了前後の時期にあると考えると、過去、この時期から金価格が上昇する傾向にあったこと、またこの期間の前後どこかで世界株式が本格調整期を迎えたことを考えると、株式と異なるパフォーマンスを示してきた金は、分散投資の一助となる可能性が高いと考えられる。
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