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- 23年12月FOMCは何がサプライズだったのか?
23年12月12-13日に開催されたFOMCの結果を受けて米10年国債利回りは急低下し、米国株式市場は大幅高となった。いったい何が金融市場にとってサプライズとなったのだろうか?当レポートでは声明文やドット・チャートの変更点に加えて、パウエルFRB議長の記者会見に注目する。
23年12月FOMCの注目点
23年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の注目点としては、①声明文において「additional policy firming(追加的な金融引き締め)」の前に「any(必要となれば)」という文言が加えられたこと(図表1)、②FOMC参加メンバーが示す政策金利見通し(通称:ドットチャート)で24年の利下げ回数が年2回から年3回へ増えたこと(図表2)、などが挙げられる。しかし、より重要なポイントとしては、③FOMC後の記者会見でパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「今回の会合で利下げのタイミングについて議論した」と発言したことが指摘される。
そもそもパウエル議長はこれまで利下げについて慎重な発言を繰り返していた。例えば10月19日の「ニューヨーク経済クラブ」での講演では「今の金融政策は引き締めすぎではない」とコメントしていたほか、11月9日に開催された国際通貨基金(IMF)のイベントでは「さらなる金融引き締めが適切であればためらわない」と発言、そして12月1日のスペルマン大学でのイベントでは「金融緩和の時期について臆測するのは時期尚早だ」とし、利下げ観測を度々けん制してきた。しかし、12月12-13日に開催されたFOMCでは利下げに関するトーンがガラリと変わった。いったいこの短期間で何が変わったのか?
ヒントはパウエルFRB議長の記者会見
ヒントはおそらくパウエル議長の記者会見にある。パウエル議長は「real progress in core inflation(コアインフレ率について本格的な進展)」があったとした。また、労働市場についても広範な指標において需給改善に向けて大きく前進したと評価した。FOMCメンバーの経済見通し(SEP)でも24年のコアPCEインフレ率の見通しが0.2%下方修正されたことも、そのような見方を反映しているものと推察される(図表3)。
だが、最も注目すべきは景気後退の可能性についてパウエル議長が言及したことだろう。前回10月31-11月1日に開催されたFOMCでは、連銀スタッフの景気後退予測についてパウエル議長は明確に否定していたが、今回の会合では「there's always a probability that there will be a recession in the next year(来年の景気後退の可能性は常にあると思う)」と表現を改めた。
23年12月のFOMCを受けて米10年国債利回りは節目の4.0%を下回った(図表4)。フェデラル・ファンド金利先物市場では、来年6回分の利下げが織り込まれた(図表5)。FOMCメンバーは、来年の米実質GDP成長率(中央値)を前年比+1.4%と、前回9月時点の同+1.5%から0.1%ポイント下方修正したに過ぎないが、市場はそれ以上の減速を織り込んでいると考えられる。
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