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- 米企業決算はS&P500を押し上げる材料になるか?
S&P500指数は4月に入ってから軟調な展開となっている(図表1)。中東情勢における緊張感はやや緩和したものの、一部の半導体関連企業の決算やガイダンスが市場予想を下回ったことに加えて、米国ではインフレ再加速に対する警戒感が高まっていることなどがその要因だ。FRBの利下げ期待が後退する中、今後の焦点は米国企業の決算動向になるだろう。
FRBの利下げ観測後退でS&P500指数の市場予想PERが低下
4月10日に発表された米国の3月CPI(消費者物価指数)は前年同月比+3.5%(市場予想は同+3.4%)、前月比+0.4%(市場予想は同+0.3%)と市場予想対比で上振れた。また、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長らが注目するスーパーコアCPI(コア・サービス除く住居)も、前年同月比+4.8%、前月比+0.7%と前月から再加速した(図表2)。
これを受けて、パウエルFRB議長の発言もトーンが変わってきた。パウエル氏は4月3日のスタンフォード大学での講演で「年内どこかの時点で政策金利の引き下げを開始するのが適切になる可能性が高い」とのハト派(金融緩和的な)メッセージを発信していたが、4月16日のワシントンでのパネル討論会では「必要な限り現在の引き締め的な水準を維持する」とタカ派(金融引き締め的な)メッセージへ転換した。
さらに、4月25日に発表された米国の1-3月期コアPCE(個人消費支出)価格指数は前期比年率+3.7%(市場予想は同+3.4%)となったほか、スーパーコアPCEも同+5.1%と前期の同+2.6%から2倍近い伸び率となった。ここにきてインフレ再加速シナリオが現実味を帯びてきた格好だ。
市場ではFRBによる年内の利下げ期待が急速に低下しており、3月CPI発表前の年内2.7回の利下げ回数予想は4月26日時点で1.4回へ下方修正された。
この結果、S&P500指数の市場予想PER(株価収益率、12カ月先)は一時20倍を割り込む展開となった(図表3)。2019年以降の推移を見ると、市場予想PERが20倍を超えていた時期はFRBの金融緩和局面と概ね一致する。金融緩和が当面期待できない環境になれば、S&P500指数の市場予想PERに低下圧力がかかったとしても不思議ではないだろう。
企業決算がますます重要に
株価はPERとEPS(1株当たり利益)の掛け算で決まる。インフレ再加速→金融緩和期待の後退→PER低下となれば、株価を押し上げるにはPERの低下以上にEPSが伸びる必要がある。
S&P500指数構成企業の24年1-3月期決算は、4月26日時点で全体の46%が発表済みだ。EPSの実績値と予想値をブレンドした24年1-3月期の市場予想EPS成長率(前年同期比)は、4月12日に一時+2.0%へ下方修正される場面もあったが、4月26日には一転して+4.7%へ上方修正された(図表4)。
さらに、24年通年の市場予想EPS成長率は前年比+9.1%の成長が想定されており、こちらも4月12日時点の+8.6%からやや上方修正された(図表5)。
上方修正された要因は、メタ・プラットフォームズやアルファベット、マイクロソフトといった超大型成長株の決算上振れだ。生成AIブームが一部の大手IT企業の業績を押し上げる構図が改めて確認される内容となった。米国株式市場は当面、市場予想PERの低下圧力と、市場予想EPSの上昇圧力との綱引きになりそうだ。
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