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- 米国株「トランプ・トレード」が爆騰
11月5日に行われた米大統領選挙では、ドナルド・トランプ前大統領が勝利し、連邦議会選挙では共和党が上院で過半数を奪還した。また、下院でも共和党が過半数を確保する観測が高まったことから、11月6日の米国株式市場では「トランプ・トレード」が活発化した。本レポートでは、この「トランプ・トレード」の概要とその背景について解説する。
米国株式市場ではS&P500指数やラッセル2000指数が急騰
現地11月5日(火)に行われた米大統領選挙では、激戦州のペンシルベニア州、ノースカロライナ州、ジョージア州などを制したドナルド・トランプ前大統領が勝利し、第47代アメリカ大統領に選出された。同日行われた連邦議会選挙でも、共和党が上院で過半数を奪還した一方、下院では開票作業がまだ続くものの、賭けサイトのポリマーケットでは共和党が過半数を確保する可能性を97%織り込むなど、下院でも共和党が過半数を確保する見方が優勢だ。
共和党のトランプ氏が大統領となり、上下両院ともに共和党が過半数を握る「レッド・ウェーブ(赤い波)」の観測が高まったことから、米国株式市場では「トランプ・トレード」を中心に大幅高の展開となった。S&P500指数は前日比2.53%高の5,929.04ポイントとなったほか、米中小型株中心のラッセル2000指数は同5.84%高の2,392.92ポイントとなった(図表1)。
なぜラッセル2000指数が大幅高となったのか?
米中小型株で構成されるラッセル2000指数は、トランプ氏の減税政策による恩恵を享受しやすい。トランプ氏は、米国内で製品を生産する企業の法人税率引き下げや、トランプ減税を恒久化する案などを打ち出している。公約通り減税政策が実行されれば、米国内で主に事業を展開する企業の1株当たり利益(EPS)が押し上げられる可能性が高まる。
実際、ラッセル2000指数の業種別構成比(時価総額ベース)を見ると、資本財・サービス(建設など)やヘルスケア(製薬など)といったセクターの割合が高く、反対にグローバルに事業を展開する企業が多い情報技術セクターの割合が(S&P500指数と比較して)低いことが分かる(図表2)。マーケットではトランプ氏が掲げる政策のプラス面に着目して、先んじて中小型株を物色したと考えられる。
銀行株やエネルギー機器・サービス株も上昇
中小型株以外でも「トランプ・トレード(トランプ氏勝利で影響を受ける株式等を売買する取引)」は活発化した。S&P500指数の業種別株価騰落率を見ると、米電気自動車大手のテスラ株が含まれる自動車・自動車部品セクターが前日比13.0%高となっている(図表3)。テスラはトランプ氏に対して多額の献金を行ったイーロン・マスク氏が最高経営責任者(CEO)を務めていることから、何らかの「見返り」が見込まれている。また、共和党政権下で金融規制緩和が期待される銀行セクターは同10.7%高となったほか、エネルギー・セクターは同3.5%高となり、化石燃料の採掘拡大によって恩恵を受けることが見込まれるサブセクターのエネルギー機器・サービスが同8.6%高となった。
米国株式市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和政策や堅調な業績見通しに加えて、前述した「トランプ・トレード」による押し上げ効果によって、年末にかけて市場全体が堅調に推移する可能性が高まったと考える。ただ、市場関係者はトランプ氏勝利を見越して10月ごろから「トランプ・トレード」を積極化させていたため、何らかのイベントをきっかけとした「トランプ・トレード」の巻き戻し(利益確定売り)には注意が必要だろう。
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