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2023年2月のバイオ医薬品市場
2023/03/24

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概要

 



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■ バイオ医薬品関連企業の株価動向

2月のナスダック・バイオテクノロジー指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。

2023年2月の株式市場は下落しました。投資家は、欧米の政策金利が想定以上の長期にわたって高水準にとどまる可能性を勘案し、株式投資に慎重なスタンスになってきています。この間、大手医薬品企業の四半期決算は事前予想通り、もしくは事前予想を下回る結果に終わりましたが、その背景には、バイオ後続品(バイオシミラー)による価格の下押し圧力に加えて、バイオシミラーの価格下落によりバイオシミラー事業そのものが影響を受けていることがあったように思われます。このような中、バイオ医薬品株式は相対的に大きな下落となりました。

株価が上昇した銘柄としては、ナテラ(米国)やアミカス・セラピューティクス(米国)などが挙げられます。ナテラは、メディケア・メディケイド・サービス・センター(CMS)が同社の乳がん血液診断を保険適用の対象とする決定を下したことが好感されました。アミカス・セラピューティクスは、中国の「ゼロコロナ政策」解除を受けて中国の製造施設の検査が進み、同社の希少疾病治療薬承認への期待が高まりました。 

株価が下落した銘柄としては、バイオマリン・ファーマシューティカル(米国)やバイオクリスト・ファーマシューティカルズ(米国)、モデルナ(米国)などが挙げられます。バイオマリン・ファーマシューティカルは、特段の悪材料がない中、利益確定の売りで株価が下落しました。重度血友病A治療薬候補が予想通り、3月末にも承認がされるか、あるいは、追加データの提出を求められ承認に遅れが出るかが株価の先行きを左右するものと思われます。一方、バイオクリスト・ファーマシューティカルズは、2023年通期予想や中期見通しが達成されないのではとの懸念が強まり株価が下落しました。モデルナは新型コロナウイルス・ワクチンの売り上げ減少や、使用期限切れが予想される在庫などの評価損計上が嫌気されました。

■ 今後のバイオ医薬品市場見通し

足元、バイオ医薬品株式市場では良い兆候がみられ始めています。M&A(合併・買収)の動きは増加傾向にあり、引き続き案件が期待されます。新薬の開発では、2023年は遺伝子治療の承認が期待される他、免疫学系、循環器系、中枢神経系が注目されます。また、がん領域では製薬会社は細胞療法に強い関心を寄せ続けています。またIPOは緩やかに戻り始めており、資金調達の環境が改善されつつあることを示唆しています。米国のインフレ抑制法案が議会を通過したことについては、財務上の重大な影響はないものと思われますが、M&Aのターゲットとされる企業が変わる可能性や、がん領域および低分子化合物におけるイノベーションへのマイナスの影響、治療薬について新たな適応拡大を追求するかどうかに関連した戦略の変更が予想されます。

長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。

医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む良い機会となると考えます。

■バイオ医薬品関連企業の売上高は新薬承認後の業績寄与などにより相対的に高い伸びに

バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました。(図表6参照)バイオ医薬品関連企業については、引き続き多くの有望な治療薬候補を有しており、新薬承認後の業績寄与が期待されていることから、今後3年間で年率+6.3%の相対的に高い売上高の伸びが期待されています。(図表7参照)

■売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)

■バリュエーション

バイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて2021年夏頃までは株価が上昇し、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇していましたが、2021年秋以降はFDAの承認申請に対する予想外の決定などがマイナス要因となったことに加え、2022年半ばにかけてナスダック市場の下落が大きくなる中、ナスダック・バイオテクノロジー指数も下落したことから、PSR も低下しました。( 図表9 参照)足元は、良好な治験結果の発表や、再びバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目され、PSRは上昇に転じつつあります。

                                                                    

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