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2024年9月のバイオ医薬品市場
2024/10/11

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概要




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■バイオ医薬品関連企業の株価動向

9月のナスダック・バイオテクノロジー指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。

世界の株式市場は、月初、米国の主要経済指標が低調で景気減速懸念が強まったことやAI(人工知能)ブームの過熱を警戒する動きなどから下落しましたが、その後、中旬にかけては米国の利下げや米国経済がソフトランディングするとの期待から反発しました。中旬まではバイオ医薬品株式も世界株式と同様な動きとなりましたが、月半ば以降、米国の長期金利が上昇基調となったことから、相対的に金利感応度が高いバイオ医薬品株式は下旬にかけて下落基調となりました。また11月に米国大統領選挙を控え、先行きが不透明な中、M&A(合併・買収)は低調でした。

株価が上昇した銘柄としては、バクサイト(米国)、ビリジアン・セラピューティクス(米国)、ヌーバレント(米国)などが挙げられます。バクサイトは31価肺炎球菌ワクチンのフェーズ1/2治験について良好な結果を発表したことが、ビリジアン・セラピューティクスは甲状腺眼症(TED)の治療薬候補のフェース3治験について良好な結果を発表したことがそれぞれ好感され、株価が大きく上昇しました。ヌーバレントは、肺がんに対する同社のALK阻害剤の治験の最新データを発表し、良好な結果が示されたことなどが評価されました。

株価が下落した銘柄としては、モデルナ(米国)、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(米国)、IDEAYAバイオサイエンシズ(米国)などが挙げられます。モデルナは、新型コロナウイルス・ワクチンの売上見通しを引き下げたことなどが影響し、株価の下落基調が継続しました。リジェネロン・ファーマシューティカルズは、主力の加齢黄斑変性治療薬アイリーアのバイオシミラーを巡る訴訟の先行き不透明感などから下落しました。IDEAYAバイオサイエンシズは、ぶどう膜黒色腫( UM ) の手術前治療におけるダロバルチブのフェーズ2治験について良好な中間データを発表しましたが、米食品医薬品局(FDA)により大規模で無作為化された臨床試験を求められ承認まで長期化するとの見方から株価が下落しました。



■今後のバイオ医薬品市場見通し

足元、バイオ医薬品株式市場では、良い兆候が見られています。2023年に大型案件が多く見られたM&A(合併・買収)の動きは、今後も継続するものとみられ、米国大統領選挙後に案件の増加が期待されます。特にフェーズ2で良好な治験結果が示された治療薬候補を有するなど買収後のリスクの低い銘柄が注目されます。新薬の開発では、遺伝子治療や免疫学系、循環器系、中枢神経系、がん領域などが注目されます。また資金調達については、新薬の開発が順調な企業はスムーズに進められてい一方、IPOは依然として低調な状況が続いています。引き続き米国大統領選挙や米国の金融政策、マクロ経済の動向には注視が必要と考えます。

長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む良い機会となると考えます。さらにAI(人工知能)の進歩はバイオ医薬品業界のイノベーションに大きな役割を果たすことが期待されます。






■バイオ医薬品関連企業の売上高は新薬承認後の業績寄与などにより相対的に高い伸びに

バイオ医薬品関連企業の売上高は、堅調に成長してきました。(図表6参照)バイオ医薬品関連企業については、引き続き多くの有望な治療薬候補を有しており、新薬承認後の業績寄与が期待されていることから、今後3年間で年率+10.19%の相対的に高い売上高の伸びが予想されています。(図表7参照)




■売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)


■バリュエーション

バイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて2021年夏頃までは株価が上昇し、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇していましたが、2021年秋以降は新薬承認申請に対するFDAの予想外の決定などがマイナス要因となったことに加え、2022年半ばにかけてナスダック市場の下落が大きくなる中、ナスダック・バイオテクノロジー指数も下落したことから、PSR も低下しました。( 図表9 参照)

足元は、良好な治験結果の発表や、再びバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目され、PSRは上昇に転じつつあります。

 





                                                                    

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