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- 中国製造業PMIに回復の兆しも
3月の中国製造業PMIが政府系、中小企業の動向を反映する傾向がある財新共に、景気拡大・縮小の目安となる50を超えました。ただ、中国の指標は春節(旧正月)休暇による季節要因が、変動を大きくする傾向もあり回復を慎重に見る必要があると見ています。それでも、いくつかの点で、中国経済に回復の兆しも見られます。
中国製造業PMI:政府系、財新PMI共に3月は50を上回る
中国国家統計局が2019年3月31日に発表した3月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.5と、市場予想(49.6)、前月(49.2)を上回り、拡大と縮小の節目となる50を超えたのは18年後半以来となります(図表1参照)。
財新伝媒が4月1日に公表した3月の財新製造業PMIは50.8に上昇し、市場予想(50.0)、前月(49.9)を上回りました(図表2参照)。
どこに注目すべきか:
製造業PMI、旧正月、貿易戦争、中小企業
3月の中国製造業PMIが政府系、中小企業の動向を反映する傾向がある財新共に、景気拡大・縮小の目安となる50を超えました。ただ、中国の指標は春節(旧正月)休暇による季節要因が、変動を大きくする傾向もあり回復を慎重に見る必要があると見ています。それでも、いくつかの点で、中国経済に回復の兆しも見られます。
今回のPMIの改善には、春節休暇の時期が昨年と異なることにより、定量化は困難ながら、3月分は実際よりも高く算出された可能性が考えられます。少なくとも拡大・縮小の境目である50を越えたから改善、という判断は慎重に行うべきと見ています。
一方で、今回のPMIの中には、次の点で、中国経済の今後の底入れの兆しも見られます。
まず、製造業PMIを項目別に見ると、先行きを示す傾向がある新規受注は51.6と2月の50.6に続き50を上回っています(図表1参照)。新規受注の上昇に伴い、今回大きく改善した生産指数も52.7と、2月の49.5から大幅に回復しました。
新規輸出受注も47.1と2月の45.2から改善方向でした。
中国経済減速の一因は米中貿易戦争の悪化で、米国の圧力が高まった18年半ばごろから、新規輸出受注も下落ペースが加速していただけに(図表1参照)、底打ちへの期待が見られます。
中国の貿易動向を占う上で、米中閣僚級の通商協議が継続して行われていることは、悪いサインではないと思われます。関税撤廃という、期待する回答には程遠いものの、少なくとも3月1日からの追加関税(10%から25%)が見送られていることなども米中貿易戦争を巡るセンチメントの改善につながっている可能性があります。
最後に、中小企業PMI、もしくは中小企業の動向との連動が高いといわれる財新製造業PMIの改善が相対的に大きいことは、中国当局の景気下支え策が効果を発揮し始めたことを期待させる面はあります。例えば、中国当局が進めてきた預金準備率引き下げは主に中小への資金供給を意図しています。
もっとも、財新製造業PMIは50を超えましたが(図表2参照)、政府系製造業PMIの中小企業指数は49.3(図表1参照)、中堅企業指数は49.9と50を下回る水準で、回復は途上で、今後も継続的な支援策が必要な状況と見ています。
冒頭述べたように、中国経済の回復に対し慎重姿勢は維持していますが、今後、底打ちから回復に向かう展開も想定する必要があると見ています。
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