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米国と欧州のブラックフライデー事情
梅澤 利文
2019/11/26

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概要

米国の歳末商戦の皮切りとなるブラックフライデーは、感謝祭翌日で、小売業者が黒字になることに由来するとされています。 ブラックフライデーは、最近では日本でも定着の兆しが見られます。一方、この時期に祝日がないこと、恐らくクリスマスを重視す る習慣から盛り上がりはもう一歩の面はありますが、最近は欧州でもブラックフライデーが広がりを見せ始めています。



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ブラックフライデー:年末商戦の動向を占う感謝祭後のイベントが近づく

米国では感謝祭(サンクスギビング・デー、11月第4木曜日)翌日から12月末のクリスマスセール期間が年末商戦となり、通常1年で最も売上が伸びる時期となっています。

年末商戦の動向を占う上で注目される、感謝祭以後5日間のセールが今週始まります。なお、全米小売業協会(NRF)によると、19年の年末商戦(11・12月の小売売上高)は前年比3.8〜4.2%増加し、7,279〜7,307億ドルに達すると見込んでいます。これは過去10年平均の3.7%増をやや上回る伸びとなります。

 

どこに注目すべきか:ブラックフライデー、感謝祭、勤労感謝の日

米国の歳末商戦の皮切りとなるブラックフライデーは、感謝祭翌日で、小売業者が黒字になることに由来するとされています。ブラックフライデーは、最近では日本でも定着の兆しが見られます。一方、この時期に祝日がないこと、恐らくクリスマスを重視する習慣から盛り上がりはもう一歩の面はありますが、最近は欧州でもブラックフライデーが広がりを見せ始めています。

まずは米国のブラックフライデーから簡単に振り返ります。
米国では11月第4木曜日が感謝祭で、その翌日のブラックフライデーからサイバーマンデーまでの期間に小売売上が急増することで知られています。NRFの調査によると、この期間にショッピングを楽しむ人は約1億6,530万人と人口のおおよそ半分が買い物をする計算です。

なかでも、ブラックフライデーとサイバーマンデーに買い物の予定が集中しています(図表1参照)。蛇足ながら、感謝祭当日は家で家族や親戚と過ごす伝統が強いようです。

ブラックフライデーを皮切りとする年末商戦について、NRFは19年を前年比3.8〜4.2%増加と過去平均を上回る伸びを見込んでいます。このうちネット通販などの小売売上高は11~14%増の1,626億~1,669億ドルが見込まれています。

もっとも、18年の年末商戦の当初予想は4.3~4.8%増でしたが、利上げや米中貿易戦争などセンチメントの悪化を受け、実際は2.1%増に留まりました。今年の年末商戦を占う上で、週末の米国小売動向に注目が必要です。

このブラックフライデーは日本でも広がりを見せ始めています。勤労感謝の日に合わせて12月の年末商戦を前に売り上げが伸び悩む11月の消費喚起が狙いと見られます。17年や18年は勤労感謝の日が幸い金曜日に絡んでくれましたが、20年頃から23日が週前半となります。定着を推し進めるには、ネーミングなどに工夫が求められそうです。

欧州でもブラックフライデーが広がりを見せる兆しは見られます。欧州の経済報道などで、欧州におけるブラックフライデーの様子が紹介されることも珍しくなくなりました。

欧州は米国のように感謝祭後の売上などの統計が整備されていないため、公式な統計による実態の把握は困難な面はあります。ただ、一部のEコマース会社が限られた標本(データ)ながら、各国の(欧州版)ブラックフライデー前後の売り上げ推移を紹介しています。なお欧州は米国の感謝祭や日本の勤労感謝の日のような祝日が11月にないため、月末の金曜日を設定しています。その金曜日の売上を、先ほど言及したデータにより11月前半の平均とで比べると、フランスなどはブラックフライデーに売上の急上昇が見られます。

一方、ドイツや英国のこの時期の売上にも増加は見られますが相対的に緩やかです。これは12月のクリスマスや、特に英国ではボクシングデーが根付いているためと思われます。

国の違いが、売上に興味深い影響を与えているようです。

 

 


梅澤 利文
ピクテ・ジャパン株式会社
ストラテジスト

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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