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- ニュージーランド準備銀行、将来のマイナス金利をほのめかす
ニュージーランド(NZ)準備銀行は前回3月16日の臨時政策決定会合で0.75%の緊急利下げを実施しており、今回の政策金利の据え置きは想定通りです。ただ、新型コロナウイルスの影響は3月中頃の想定より深刻であったと声明文でも述べ、NZ準備銀行は今回の会合で金融緩和姿勢を強めました。これを受け市場ではNZドル安が進行しました。
ニュージーランド準備銀行:政策金利は据え置くも、量的金融緩和は拡大
ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は2020年5月13日に市場予想通り、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレート(OCR)を過去最低の0.25%に据え置くことを発表しました(図表1参照)。
一方、量的緩和策として導入した「大規模資産購入プログラム(LASP)」の規模を、従来の330億NZドルから、ほぼ倍となる600億NZドル(約3兆8800億円)に拡大することを決定したと発表しました。
どこに注目すべきか:LASP、GDP比約20%、マイナス金利
NZ準備銀行は前回3月16日の臨時政策決定会合で0.75%の緊急利下げを実施しており、今回の政策金利の据え置きは想定通りです。ただ、新型コロナウイルスの影響は3月中頃の想定より深刻であったと声明文でも述べ、NZ準備銀行は今回の会合で金融緩和姿勢を強めました。これを受け市場ではNZドル安が進行しました。
緩和が示されたのは大規模資産購入プログラム(LASP)の規模拡大です。600億NZドルという購入規模はニュージーランドの19年のGDP(国内総生産)の2割近くに迫り、他の先進国の債券購入規模に迫る規模です。市場でも、LASP拡大は想定されていたため、期待に応えた格好です。
次に、別のタイプの資産をLASPプログラムに追加する可能性を示唆したことも緩和姿勢の強まりを示しました。現在のLASPプログラムで購入対象となっているのはNZ国債、地方自治体資金調達機関(LGFA)債、並びにインフレ連動NZ国債です。声明では、これらの買い入れ対象以外の選択肢をLASPの購入対象として検討すると述べられています。報道などでは、外国資産も量的緩和プログラムの対象にする可能性があるとしています。
3月の声明における金融緩和姿勢との明確な違いは、今回は将来のマイナス金利導入の可能性に言及している点です。NZ準備銀行は3月も臨時政策決定会合で政策金利を0.25%に引き下げると共に、少なくともこの水準を維持することで、マイナス金利を現在検討していないことを示唆しました。
しかし、5月の今回の声明では、将来的には政策金利をマイナスとすることも選択肢と述べています。現時点では金融機関の準備が出来ていないことも指摘し、来年初めまでは政策金利を現状維持とするフォワードガイダンスも据え置きました。ただ、金融機関との協議など準備は進める模様です。
なお、マイナス政策金利は他の国でも「話題」となっています。例えば米国ではフェデラルファンド(FF)金利先物が100を超えました(図表2参照)。FF先物は100と先物価格の差が利回りをあらわすため、テクニカル的には将来のマイナス金利が一時的に示唆された格好です。思惑はあるようですが、米国がマイナス金利を導入するハードルは高いと見ています。
流動性供給を重視する現段階の金融政策でマイナス金利は蚊帳の外です。欧州でも副作用への配慮からマイナス金利の深堀は見られません。ただ、需要拡大政策にシフトする局面で、実現性は別にしてマイナス金利を(少なくとも)選択肢として検討する動きはNZ以外にもあるかもしれません。
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