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- 中国7-9月期GDPから今後を占う
中国の21年7-9月期のGDP成長率は悪材料が重なったことから景気回復の減速が示されました。主な下押し要因は足元の電力不足、ハイテク企業から不動産まで規制強化、不動産債務問題、デルタ変異株などがあげられます。これらの要因を振り返ると共に、今後の展開のポイントを述べます。
中国経済統計:7-9月期GDP(国内総生産)は前年同期比4.9%と市場予想の5%を下回る
中国国家統計局が2021年10月18日に発表した中国の7-9月期実質GDPは前年同期比4.9%増と、市場予想の5.0%増、4-6月期の7.9%増を下回りました(図表1参照)。
同時に発表された9月の月次指標では、小売売上高が前年比4.4%増と市場予想の3.5%増を上回った一方、鉱工業生産が3.1%増と、市場予想の3.8%増を下回りました。また、固定資産投資(年初来前年比)は7.3%増と、市場予想の7.8%増、前月の8.9%増を下回りました。
どこに注目すべきか:中国GDP、電力不足、個人消費、不動産懸念
中国の21年7-9月期のGDP成長率は悪材料が重なったことから景気回復の減速が示されました。主な下押し要因は足元の電力不足、ハイテク企業から不動産まで規制強化、不動産債務問題、デルタ変異株などがあげられます。これらの要因を振り返ると共に、今後の展開のポイントを述べます。
中国の7-9月期のGDP成長率を前期比で見ると0.2%増と4-6月期の1.2%増から低下しました。年率では1%を下回る水準で、7-9月期の成長率の低さがうかがえます。
そこで成長率の下押し要因として規制強化、とりわけ影響が大きかったと見られる不動産投資を見ると年初来前年比で9月は8.8%増と、8月の同10.9%増から年初来前年比が大幅に減速しており、9月の不動産投資は単月ではマイナスでした。3つのレッドライン(三道紅線)などに代表される当局による不動産規制により不動産への投資が、特に資金面から抑制されたと見られます。中国では当局が景気を支える意思表示は金利よりも社会融資総量など貸出に現れると見られます。先週発表された9月の社会融資総量は2.9兆元と、市場予想の約3兆元を下回りましたが、内容を見ると社債発行などが大幅に減少しており、不動産規制の影響がうかがえます。
電力不足など供給制約もあり、鉱工業生産は9月が前年同月比で3.1%増と市場予想を下回り、これで7月から9月全ての月で市場予想を下回りました。生産活動の低下もGDP成長率の下押し要因と見られます。
個人消費の代替変数として小売売上高を見ると、7月と8月はデルタ変異株の感染抑制に向けた厳格な対応などの影響から市場予想を大きく下回りましたが、9月の小売売上高は市場予想を上回りました。デルタ変異株の懸念が和らいでいること、調査ベースの失業率は低下していること、などと整合的です。7-9月期を通せば個人消費は減速傾向で急回復は見込みがたくも、底打ちの兆しはありそうです。
これまでの下押し要因を踏まえ、今後の注目点を述べます。まず、中国当局の規制強化、特に不動産規制は今後も続くことも見込まれます。その場合、景気が悪化しても全国一律の金融緩和は控える可能性があります。過去、不動産規制が機能しなかったのは金融緩和をしたとたんに不動産バブルが繰り返されてきたからです。したがって金融緩和策として預金準備率の引き下げを行うにしても的を絞った形での実施が想定されます。
電力不足に対しては、その原因ともなった石炭生産の落ち込みに対して当局も対策をとり始めています。徐々に改善することへ期待もありますが、時間は必要と思われます。
中国はエネルギー価格上昇などで生産者物価が上昇する一方でインフレ率は低いことから中小企業などが価格転嫁に苦しんでいると見られます。中国は来年が政治的に重要な時期だけに今後は的を絞って支援を繰り出すと見ています。
中国景気は10-12月期も減速が続くも、来年は的を絞った支援策の効果がある程度期待されます。しかし、不動産等の規制は続くことから来年の成長率は5%程度と見ています。
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