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- 中国GDP成長率、減速感が鮮明に
中国の21年10-12月期GDP(国内総生産)成長率、並びに12月の月次データは、中国景気が昨年末にかけ減速傾向であったことを示唆しています。特に22年は中国の政治にとり重要な年である中、個人消費の減速を示唆する軟調な小売売上高の政策への影響は小さくないように思われます。中国当局の景気支援策に注目しています。
中国経済統計:10-12月期GDP成長率は市場予想を上回るも景気減速が示唆された
中国国家統計局が2022年1月17日に発表した21年10-12月期のGDP(国内総生産)は、実質で前年同期比4.0%増と、7-9月期の4.9%増から減速したものの、市場予想である3.3%増を上回りました(図表1参照)。
同日に発表された中国の月次データでは12月の鉱工業生産指数は前年同月比で4.3%と、市場予想、前月を上回りました(図表2参照)。一方、12月の小売売上高は前年同月比で1.7%と伸び悩み、市場予想や前月を下回りました(図表3参照)。
どこに注目すべきか:中国経済統計、GDP、小売売上、不動産投資
まず、中国の経済統計を振り返ります。GDP成長率ですが21年10-12月期が算出されたことで21年通年の中国成長率は8.1%となりました。昨日発表された12月の貿易統計で大幅な貿易黒字を記録するなど、21年の中国の成長は貿易が押し上げ要因であったと見られます。また、20年年初の新型コロナによる景気の落ち込みからいち早く回復したことで、21年年初は高成長となりました。
しかし中国経済は足元軟調です。不動産投資規制や、その他の規制強化、電力不足、そしてオミクロン株への対応による経済活動の制限など景気下押し要因が山積しています。中国の成長率は今年前半は前年同期比で5%を下回る相対的に低水準での推移を見込んでいます。
次に、月次データで最近の中国景気の動向を振り返ると、鉱工業生産の回復は明るい材料と見られます。産業別ではハイテク部門などが2桁成長を確保するなど、電力不足の解消が見られます。一方、企業形態別に見ると回復をけん引したのは民間企業でした。一方、国有企業の生産が11月を下回ったのは気がかりです。
反対に回復が鈍かったのは小売売上高です。コロナ感染に厳格に対応するゼロコロナ政策により外食や旅行、娯楽などへの影響が想定されます。また、前年比でマイナスとなった項目を見ると、年後半プラスを維持してきた家具が12月はマイナスに転じました。オミクロン株に加え、不動産規制が間接的に影響を与えた可能性が考えられます。
中国の個人消費を占う上で中国の労働市場回復の遅れも気になります。中国の労働市場のデータは充実しているとは言い難いのですが、調査ベースの失業率が上昇(悪化)していることや求人数の低下が見られます。現地の報道などでは中国でも規制強化の対象となった企業などで人員整理(リストラ)が行われたという報道が見られます。
また米国などに見られるように個人消費は株高などによる資産効果がプラス要因ですが、中国株式のこの1年ほどの動きから、大きな効果は期待が難しいように思われます。
GDPなどの発表を受け、中国人民銀行(中央銀行)は中期貸出制度(MLF)の1年物金利を従来の2.95%から2.85%に引き下げました。市場では据え置きの見方が大半であっただけに、当局の「焦り」も感じさせます。昨年後半から緩和姿勢に舵を切った中国当局の今後の対応が注目されます。
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