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- インドネシア経済指標、成長の次に来るもの
インドネシアは今週金融政策決定会合が予定されていますが、市場では政策金利の3.5%据置きが予想されています。ただ、インドネシア経済は新型コロナウイルスの逆風の中回復傾向で、インフレ率も緩やかながら上昇傾向です。当面の据え置きは想定されるものの、インドネシア中銀は利上げの準備を進めてゆくものと思われます。
インドネシア:21年10-12月期のGDP成長率は、市場予想を上回り回復傾向を確保
インドネシア中央統計局が2022年2月7日に発表した昨年10-12月期のGDP(国内総生産)成長率は前年同期比で5.02%増でした(図表1参照)。市場予想の4.81%増、前期の3.51%増を上回りました。前期比ベースでは3四半期連続でプラス成長を確保しており、回復傾向です。
インドネシアにおける新型コロナウイルスの新規感染者数は昨年10-12月期は1日平均500人程度と落ち着いていました(図表2参照)。ただし足元では主にオミクロン株による感染者数が増加傾向となっています。
なお、インドネシアの中央統計局が2日に発表した1月の消費者物価指数(CPI)は総合CPIが前年同月比2.18%上昇し、コアCPIは1.84%上昇しました(図表3参照)。
どこに注目すべきか:GDP成長率、オミクロン株、緊急活動制限
インドネシアの経済状況を振り返ります。まず、インドネシアの21年10-12月期のGDP成長率を需要項目別に見ると、家計消費が前年同期比3.55%増、政府支出が5.25%増、投資(固定資本形成)が4.49%増とバランスの取れた成長と見られます。
次にGDPを産業別に見ると、運輸・倉庫が前年同期比で7.93%増と堅調で、食料・飲料については4.95%増と前期(7-9月期)のマイナス0.59%から回復しました。インドネシアは昨年夏頃、新型コロナの感染が再拡大しましたが、10-12月期には感染は落ち着きました。GDP成長率を見ても感染収束を反映した項目が主な押し上げ要因です。
新型コロナの感染が広まった時期において、インドネシア政府は厳格なことで知られる緊急活動制限を(地域別に)導入しました。10-12月期は緊急活動制限が緩和されています。
なお、インドネシアでは足元でオミクロン株の感染が拡大しています。複数の地域でレベルの高い緊急活動制限が導入されています。今後の展開次第ながら、経済活動の制限には注意が必要です。
次に、インドネシアのインフレ率を見ると、22年1月の総合CPIは前年同月比で2.18%の上昇でした。インドネシア中銀のインフレ目標(3%±1%)におさまっています。インドネシアの物価がこれまで比較的安定的であった背景に為替の安定があげられます。なお、1月のCPIで上昇した主な項目を見ると、食料、レストランの料金などがあげられます。新型コロナからの回復が寄与したと見られます。
インドネシアの経済状況から、今後の金融政策を占うと、足元オミクロン株の感染が拡大しており、当面は成長を重視して政策金利の据え置きが見込まれます。ただ、オミクロン株の重症化リスクが低いのはインドネシアも同じで、行動制限の影響は比較的小幅と市場では予想され、景気の回復基調は続くと見られます。一方で、インドネシア中銀は米国の利上げ開始を3月と想定し、政策運営することを示唆しています。ルピア安抑制のため年後半には金融引締めが想定されます。
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