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- 豪ドルの動向を左右する要因について
ロシアのウクライナに対する軍事侵攻後、エネルギー価格などの上昇を背景に資源国通貨は堅調に推移しましたが、4月後半からその勢いが減速しました。資源価格上昇のペースダウン、もしくは下落や、世界的な景気減速懸念などが背景です。加えて国固有の事情も通貨動向に影響しています。豪ドルを中心にこれら通貨変動要因を探ります。
豪雇用統計:豪金融政策や豪ドルを占う上で注目された雇用指標はやや軟調
オーストラリア(豪)統計局が2022年5月18日に発表した1-3月期の賃金指数は前期比0.7%と市場予想の同0.8%を下回りました。前年同期比も2.4%と市場予想の同2.5%を下回りました(図表1参照)。
なお、19日に発表された豪雇用統計では失業率は市場予想、前月に一致する3.9%となり、低水準を維持しましたが、雇用者数は前月比4000人増と、市場予想の同3万人増を下回りました。
どこに注目すべきか:豪ドル、資源国通貨、賃金指数、総選挙
4月後半から豪ドル(対米ドル)安傾向となっています(図表2参照)。年初から豪ドルは資源価格上昇などを背景に堅調に推移し、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻の影響は、結局エネルギー価格上昇を伴うとの観測から豪ドル高に転じる局面も見られました。
しかし足元では豪ドル安に転じています。主な背景は米国の金融引き締めの影響が根強いこと、資源価格上昇の勢いに一服感が見られることです。資源価格上昇がペースダウンした背景は景気減速、とりわけ中国の景気悪化の影響が大きいと見られます。原油価格は高止まりですが、銅や鉄鉱石価格は4月後半から下落傾向に転じています。
なお、上に示した豪ドル安要因は他の資源国にも共通しており、ブラジルレアルや南アフリカランドも4月中頃まで上昇傾向、その後下落に転じています(図表3参照)。なお、図表3ではレアル高、ランド高をグラフの上方向に示しています。また、南アランドの下落が足元で大きい背景は、計画停電など電力供給不安が残ることや、洪水の影響により景気減速懸念が高まったことが挙げられます。
ここまで豪ドルの変動要因として他の資源国同様、国外要因を述べてきましたので、次に豪国内要因を述べます。
注目は豪準備銀行(中央銀行)の金融政策です。豪中銀は5月3日に政策金利を0.1%から市場予想の0.25%を上回る0.35%へと引き上げました。豪消費者物価指数が足元前年同期比で5.1%となるなど想定以上に上昇していること、豪中銀は賃金も(物価にあわせ)上昇すると予測していることなどを利上げの背景と説明しています。これらの想定は豪中銀の会合後に公表された金融政策報告にも示されています。もっとも過去2日間で公表された雇用関連統計は次回の利上げ幅を幾分抑制する内容であったと見ています。
なおオーストラリアでは総選挙が21日に投開票される予定で、与党・保守連合が野党・労働党にリードを許す展開で、す。9年ぶりの政権交代の可能性も浮上しています。市場はある程度結果を織り込んでいるとは思われますが、不透明要因とも見られます。豪ドルの国内要因として金融政策と総選挙が今後の動向に影響を与える展開を想定しています。
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