●資産価格の動きを見る場合、ついつい価格の変化幅に注目してしまいます。しかし、変化幅に気を取られてしまうと、実際にどの程度変化したかを見誤ってしまう可能性があります。
●実際にどのくらい変化したかを理解するために、価格変化率にも注目しましょう。また、対数チャートを利用すると、資産価格の動きを変化率で表示することができ、資産価格の変動の程度や価格変動のトレンドを理解することができます。

ついつい気を取られがちな変化幅

資産価格の動きを見る際に、その資産がどの程度動いたか、ついつい価格の変化幅に注目してしまいます。例えば、株価が1,000円上がったとか、500円下がったという風にです。しかし、変化幅ばかりに気を取られてしまうと、実際にどのくらい価格が動いたかを見誤ってしまう可能性があります。ビットコインを例に考えてみましょう。ビットコインの価格（対ドル）を、①2010年7月末から2011年7月末までの1年間と、②2020年7月末から2021年7月末の1年間で比べてみます。①の期間にビットコインは、0.06ドルから13.5ドルに上昇しました。この間の変化幅は、13.44ドルです。次に②の期間においてビットコインは、11,345ドルから39,840ドルに上昇しています。この間の変化幅は、28,495ドルとなりました。①と②を比べてみると、変化幅が大きい②の方が①よりも大きく上昇したように感じます。しかし、変化率を比べて見ると②が約3.5倍に対し、①は約225倍でした（図表1）。数値が小さく、また変化幅も小さいと分かりづらいのですが、実は①の方が上昇の程度は大きいのです。このように、価格変化幅だけみると実際の値動きの程度を見誤ってしまう可能性があるので、価格変化率も合わせて確認しましょう。

対数チャート

最後に、対数チャートをご紹介したいと思います。対数チャートとは、数値の動きを変化幅ではなく、変化率で示したものです。先ほどのビットコインの値動きを、一般的な価格変化幅で示したチャートと価格変動率で示した対数チャートと比較すると、大きく異なることが分かります。変化幅で示したチャートは、ここ数年の大きな変動は見て取れますが、①の期間のように価格が低い時期の価格変動は分かりません（図表2）。一方で、対数チャートを用いると、価格が低い時期や高い時期に関わらず、価格変動の程度を表示することができ、価格変動のトレンドを理解することが可能となります（図表3）。