Article Title
投資を始める前に知っておきたいこと⑪ ~平均と中央値~
2021/08/19

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

・「平均」とは、数字の集まりの傾向をつかむために、全体的にならすとどのくらいになるか、を計算するものです。
・「平均」には極端に大きな(小さな)数字の影響を受けやすいという性格があり、一般的に「平均」という言葉がイメージさせる「並」に相当する水準とはかけ離れた数字になる場合があります。
・平均に代わって「並」として実感を伴う水準を表すのが「中央値」です。




Article Body Text

金融資産の保有額平均

資産運用を始めるために情報収集を行う際、「世代別の平均貯蓄額」や「金融資産保有額の平均」などの情報を目にすることがあります。金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査(2020年)」によると、年代別の金融資産保有額の平均(金融資産を保有していない世帯を含む)は、30歳代で591万円、40歳代で1,012万円、50歳代で1,684万円となっています。このような数字から「自分は世間の平均的な額を下回っているので不安だ」と感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、これらの「平均」に関するデータは、必ずしも「並」や「だいたい真ん中あたり」に相当する水準を示すものとは限りません。

平均の意味と特性

⽇本国債:FTSE⽇本国債指数 ⽇本株式:MSCI⽇本株価指数
出所:ブルームバーグのデータを使⽤し、ピクテ投信投資顧問作成

「平均」とは、数字の集まりの傾向をつかむために、全体的にならすとどのくらいになるか、を計算するものです。「平均」には様々な種類がありますが、一般的な平均は「算術平均(相加平均)」というもので、対象となる全てのデータを合計(相加)して、データの個数で割ることで求められます。例えば、図表1に示すように算術平均で算出したサイコロの目の平均値は(1+2+3+4+5+6)÷6=3.5 となります。この場合、全部で6つあるデータのうち平均値の3.5を上回るデータ数と下回るデータ数はそれぞれ3つで、一般的に「平均」という言葉からイメージされる「並」や「だいたい真ん中あたり」に近いものになっています。一方、算術平均は、数字の集まりの中に極端に大きな、もしくは小さな数字(外れ値)があった場合、その数字の影響を受けやすいという性格があり、場合によっては平均値が「並」や「だいたい真ん中あたり」とはかけ離れた数字になります。図表2は、図表1に外れ値となる数字の10,000を加えたものです。平均値は1,432ですが、平均値を上回るのデータは1つ(10,000)のみであり、残りの6つのデータは平均値を大きく下回ります。

中央値

上述の金融資産保有額などの平均が実感できる「並」の金額よりも高額だと感じられるのは、これらの平均金額が、外れ値に相当する少数の富裕層(高額資産保有世帯)の存在によって大きく引き上げられたためです。この平均に代わって「並」をよく表してくれるのが「中央値」です。中央値はデータを大きさの順に並べた時に中央にくる数字です(データ数が偶数個の場合は中央2つの数字の算術平均)。中央値よりも大きな数字と⼩さな数字のデータ数が同じになり、一般的に「平均」という言葉がイメージさせる「並」や「だいたい真ん中あたり」に近い数字になります。図表1に示したサイコロの目の中央値は3.5で変わりませんが※、図表3に示すように外れ値を含む数字の集まりの中央値は4で、中央値を上回るデータ数と下回るデータ数が同じになります。年代別の金融資産保有額の中央値は30歳代で400万円、40歳代で520万円、50歳代で800万円です。「世間の平均的な額」として、より実感を伴う水準に近づいたのではないでしょうか。

※データ数が偶数個のため、中央の3と4の算術平均で導出。(3+4)÷2=3.5となる。


●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

手数料およびリスクについてはこちら



関連記事


日付 タイトル タグ
日付
2021/04/05
タイトル 投資を始める前に知っておきたいこと(1)投資は必要か? タグ
日付
2021/04/15
タイトル 投資を始める前に知っておきたいこと(2)〜投資をどのように始めるか 1〜 タグ
日付
2021/04/28
タイトル 投資を始める前に知っておきたいこと(3)〜投資をどのように始めるか 2〜 タグ
日付
2021/05/13
タイトル 投資を始める前に知っておきたいこと(4)〜投資をどのように始めるか 3〜 タグ
日付
2021/05/28
タイトル 投資を始める前に知っておきたいこと(5)〜自分で行う際に気をつけること〜 タグ
日付
2021/06/10
タイトル 投資を始める前に知っておきたいこと(6)〜投資を任せる際に気をつけること〜 タグ
日付
2021/06/24
タイトル 投資を始める前に知っておきたいこと(7)〜お金の色分け〜 タグ
日付
2021/07/08
タイトル 投資を始める前に知っておきたいこと(8)〜リスクとは?〜 タグ
日付
2021/07/21
タイトル 投資を始める前に知っておきたいこと(9)〜リターンとは?〜 タグ
日付
2021/08/05
タイトル 投資を始める前に知っておきたいこと(10)〜変化幅と変化率〜 タグ
日付
2021/09/02
タイトル 投資を始める前に知っておきたいこと(12)〜積⽴効果とは〜 タグ
日付
2021/09/16
タイトル 投資を始める前に知っておきたいこと(13)〜単利と複利〜 タグ
日付
2021/09/30
タイトル 投資を始める前に知っておきたいこと(14)〜インベスターリターンとは?〜 タグ

ESG投資や新興国投資について学びたい方へ

コラム

もっと詳しく学びたい方へ

図解で学ぶ投資のトピック

投資の基礎を学びたい方へ

投資を始める前に知っておきたいこと