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分散投資実践編 ⑩ ~長期積立・分散投資の効果~
2023/08/17

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概要

分散投資ポートフォリオで積立投資を行うことは資産と時間の分散効果が期待でき、 長期の資産運用を行う上で有効な投資手法であるといえます 。




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■投資タイミングの分散がもたらすメリット

今回は投資するタイミングを分散する「 時間分散 」 がもたらす効果についてご説明いたします 。 長期の資産運用を考える上で 、 リスクを抑えつつ安定したリターンを獲得するための投資戦略を考えることが重要ですが 、 代表的なものとして 「 資産分散 」 と 「 時間分散 」 という考え方が存在します 。 「 資産分散 」 はこれまでご説明してきたとおり、値動きの大きさを踏まえて相関係数がなるべく小さいものを組合わせることで 、互いに値動きを打ち消しあい 、 結果的に、値動きを抑えることが期待できるというものです 。「 時間分散 」は文字通り投資するタイミングを分散することですが 、 積立投資がこの時間分散に該当します 。 たとえば 、毎月一定の金額を投資することで 、 投資するタイミングが分散され 、 過度に高い値段で一括投資してしまうといったリスクを抑えることができます 。 たとえプロの投資家であっても最適な投資のタイミングを特定することは困難であるため 、 感情に左右されず機械的に積み立てていくことは、多くの投資家にとって有効な手段だといえます 。
更に 、 リスクを抑えた分散投資ポートフォリオで積立投資を行うことで 、 上記の投資戦略の効果を両方受けることができ 、 価格変動幅の大きい資産への集中投資と比較して 、投資タイミングによる投資成果の差が生じにくいメリットがあるといえます 。 具体的に見ていきましょう 。

図表1 は毎月 1 万円を ① 米国株式に全額投資した場合と ② 米国国債に全額投資した場合 、 ③ 米国株式に 50 と米国国債に 50 投資した場合 、 ④ 米国株式に 35 、 米国国債に 35 、 金に 30 投資した場合の約 25 年間の積立シミュレーションです 。 この期間中に積立投資を行った場合 、 累積の積立金額 295 万円に対して 、 ① 米国株式だけに積立投資を行った場合の評価金額は 1 588 万円となり 、 ② 米国国債のみ 、 あるいは ③ や ④ のように米国株式に米国国債や金を組合せた場合の評価金額を大きく上回ります 。 しかしながら 、 ① は価格変動が相対的に大きいこともあり 、 評価金額が積立金額 灰色部分を下回る期間がありましたが 、 ③ 、 ④ は投資を開始した直後の期間を除いて 、 評価金額が積立金額を上回って推移していることがわかります 。

このように分散投資ポートフォリオで積立投資を行うことによって、資産分散と時間分散の両方の投資効果が期待できるため 、 特定の資産への集中投資と比較し 、 相場の変動に一喜一憂することなく 、 淡々と投資を継続することが可能になるといえます 。


図表1:米国株式と米国国債、金の組合わせで積立投資を行った場合のシミュレーション
(毎月1万円を積立投資)
月次、円ベース、期間:1999年1月~2023年7月末

※米国株式:MSCI米国株価指数、米国国債:FTSE米国国債指数、金スポット価格:金/米ドル、米国株式50%+米国国債50%および米国株式35%+米国国債35%+金30%は月次でリバランス※シミュレーションに際しては、各資産毎に月次リターンと投資比率を掛け合わせ、それらを合計して、パフォーマンスを算出しています。運用管理費用や、過去の売買実行可能性および売買手数料、税金等の費用は考慮していません。
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成



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