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新NISA編② ~投資の必要性を理解する~
2023/09/28

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概要

NISAは投資を行う上で非常に有効かつ重要な制度であり、投資の必要性を理解した上で早いうちから準備を進めることが重要です。




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■  お金の価値と投資の必要性

投資はどのような人が行うべきでしょうか。投資は元本保証がなく、損失が発生する可能性もあり、資金に余裕のある一部の人だけが行うものだと考える人が多いようですが、果たして本当にそうでしょうか。現在の日本を取り巻く環境を考えると、将来のゆとりある生活や多様化する生き方を実現するためには預貯金以外の対策が必要です。今回は、その対策の1つである投資の必要性についてご説明いたします。

図表1は日本のCPI(消費者物価指数)と1年ものの預金金利の推移を示しています。長らく続く金融緩和により、預金金利はゼロに近い水準が続く一方、CPIは、2021年以降、新型コロナウイルスの感染拡大によるサプライチェーンの混乱や、ロシアによるウクライナ侵攻を背景とする資源価格の高騰等により上昇を続け、直近では3%を超える状況が続いています。このように、物価上昇率が預金金利を上回る状況が続く場合、お金の実質的な価値が目減りしていくことに注意しなければなりません。なぜなら、お金の価値は、モノやサービスとの交換量と考えることができるからです。例えば、今は1万円でレストランのコース料理が楽しめるとしても、将来、インフレの進行でパン1個しか買えなくなってしまったとすると、1万円の価値はパン1個分ということになり、これはお金の価値の目減りを意味します。



図表1:日本のCPI(消費者物価指数)と1年もの預金金利の推移
月次、期間:2012年1月~2023年7月、%、CPIは前年同月比

出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成


また、図表2で示している通り、1987年から2021年にかけて、世帯所得の中央値が下がる一方、税金や社会保険料等を指す非消費支出は増加していることが分かります。世帯が自由に使うことのできる可処分所得は世帯所得から非消費支出を引いて算出することができますが、少子高齢化が進む中、今後も非消費支出の上昇が予想され、可処分所得の下落圧力となります。加えて、今後も物価上昇が続けば、生活コストは更に上昇し、可処分所得を圧迫してしまいます。よって、預貯金だけでは今あるお金の価値を保全することができず、将来のゆとりある生活や多様な生き方の実現も難しいといえます。



図表2:世帯所得と非消費支出(住民税・勤労所得税・社会保険料等)の推移
期間:1987年~2022年、世帯所得は2021年のデータ

※CPI以外は年額、出所:総務省、厚生労働省のデータを基にピクテ・ジャパン作成

そこで検討すべき対策として投資信託や株式等への投資があげられますが、図表3の通り、2022年3月時点で日本の家計資産に占める両資産の割合は米国や欧州に比べ著しく低いことがわかります。安定志向が強い国民性を示している可能性もありますが、インフレから資産価値を守るという点では十分な対策とはいえません。資産価値を守るためには、インフレ率以上で資産を増やす必要があり、そのためには投資が必要不可欠だと考えます。投資は世界経済の様々な分野における成長をリターンとして享受でき、時間をかけることで、インフレ率以上に資産を増やせる可能性が高いからです。

図表3:日本、米国、欧州の家計の金融資産構成比率
※2022年3月末時点

出所:日本銀行のデータを基にピクテ・ジャパン作成

また、「貯蓄から投資へ」というスローガンのもと、岸田首相の掲げる資産所得倍増を実現するため、一定期間、投資によって得られた利益を非課税にするNISAも推進されています。さらに、来年から始まる新NISAではこの非課税期間が無期限になる等、更に使い勝手のよい制度となります。このように日本においてもインフレが身近な状況になる中、資産価値を守るため、また将来ゆとりある生活や多様な生き方を実現するためにも資産運用の必要性は高まっており、NISAをはじめとした投資を後押しする政策を理解し活用することが重要であるといえるのではないでしょうか。




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