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- スマートシティ|スマートシティ関連株式における今後の注目点
・「都市をつくる」の投資セグメントでは、気候変動対策を促進する米国の景気刺激策などが支援材料に
・「都市を運営する」の投資セグメントでは、利上げサイクルの終了に伴う物流不動産の投資価値の再評価に期待
・「都市を運営する」の投資セグメントでは、デジタル・インフラに対する高水準の需要の継続も好材料
スマートシティ関連株式における今後の注目点
当ファンドは、主に世界のスマートシティ関連企業の株式に投資を行っています。スマートシティとは、新しい技術や仕組みなどを活用して、様々な生活インフラが効率的に管理・運営され、環境に配慮しながら人々が便利で快適に過ごせる都市のことを指します。
ピクテは、スマートシティ関連株式を「都市をつくる」、「都市を運営する」、「都市に暮らす」の3 つの投資セグメントに分類できると考えていますが(図表1参照)、今回は「都市をつくる」と「都市を運営する」セグメントの中での注目点についてご紹介します。
図表1:ピクテが考えるスマートシティ関連株式「3つの投資セグメント」
都市をつくる - 都市開発/効率性の高い建物
「都市をつくる」は、スマートシティの投資セグメントの中でも、景気変動の影響を受けやすい分野であるため、主要先進国の景気減速が見込まれる中では、先行きについて留意が必要な分野であるといえます。しかし、そうした中でも短期的および長期的に関連企業の成長に寄与する好材料があると考えています。
原材料費などのコスト低減による利益率の改善
主要な建設資材の原材料価格は過去6ヵ月間に大きく低下したほか、コンテナ船の運賃など輸送費などの費用価格も低下しました。一方で、足元では都市建設の受注残も多いことから、都市開発や建設に関わる企業は価格決定力を維持することが可能であると考えられるため、今後の利益率の拡大が見込まれます。この傾向は、原材料費の高い断熱材などの熱効率を高めるための建設資材の分野において顕著であるとみられるほか、エレベーターや空調設備などの分野においても期待されます。
政府の景気刺激策
米国で成立したインフレ抑制法(IRA)※1やインフラ投資・雇用法(IIJA)※2などを背景とするインフラの修繕や気候変動対策に関する投資需要により、景気鈍化に伴い建設需要が減速した場合においても、都市建設関連企業に対する全体的な需要は維持されることが期待されます。このことは、特に建物の電化や空調、断熱・熱効率などの「エネルギー・トランジション」※3関連の分野で顕著となることが予想されます。
※1 インフレ抑制法(IRA):過度なインフレを抑制すると同時に、エネルギー安全保障や気候変動対策を進めることを目的とする法律
※2 インフラ投資・雇用法(IIJA):道路や橋梁などのインフラ投資に加えて気候変動対策としてクリーンエネルギー推進の分野などに投資する法律
※3 エネルギー・トランジション:再生可能エネルギーの推進などに代表される低炭素化・脱炭素化の実現のためのエネルギー転換
都市を運営する - 基幹インフラ
物流施設に対する評価の見直し
過去2年間、eコマース(電子商取引)の拡大や物流の混乱に伴うサプライチェーンの見直しなどの構造的な要因を背景に、物流施設に対する需要は極めて高い水準にありました。足元では需要は正常化に向かいつつありますが、依然として高水準で推移しています。一方で、物流施設の供給は急速に減少していることから、賃料の上昇トレンドが継続することが見込まれます。また、物流不動産のバリュエーション(投資価値評価)には上昇余地があると考えられます。金利見通しについては不確実性は残るものの、主要な中央銀行による利上げサイクルは終盤に近づいている可能性が高いと考えられます。既に金利の低下を見込んで物流不動産の価値を再評価する兆しがみられていますが、2023年後半にはこの動きが本格化することが予想されることから、プロロジス(米国)やセグロ(英国)などの物流施設関連銘柄の株価の支援材料になると考えられます。
埋立廃棄物による再生可能エネルギーの生成
廃棄物処理関連企業の価格決定力は依然として非常に高く、また景気が大きく落ち込んだ場合においても廃棄物処理需要の減少リスクは小さいと見込まれます。コモディティ価格が低下していることはリサイクル素材価格の下押し要因となり、廃棄物処理関連企業の利益成長にマイナスの影響を与える可能性があることには留意が必要ですが、再生可能エネルギーとしての埋立地ガス※4市場の拡大が、構造的な要因として業績成長に寄与することが期待されます。
※4 埋立地ガス:廃棄物の埋立地で有機物が分解される際に発生するガス。再生可能エネルギーとして市場の成長が見込まれている。
都市を運営する - デジタル・インフラ
データセンターに対する旺盛な需要の継続
2023年のデータセンターへの需要は、2022年よりも若干の低下が見込まれるものの、依然としてコロナショック前の数倍の規模で推移すると予想されます。グーグルやマイクロソフト、アマゾンなどのハイパースケーラー(大規模なクラウド・コンピューティング・サービスなどを提供できる企業)の分野では成長の鈍化が予想されますが、エクイニクス(米国)が主力事業とするコロケーション(サーバーを社外の共用の施設に設置、運営すること)・サービスなどの他の分野においては、成長を維持すると考えられます。データセンター業界においても需給のサイクルは存在しますが、マクロ経済全体のサイクルとは異なる経緯をたどることが想定され、当面は構造的な要因を背景とする成長が続くものと予想されます。
デジタル決済ネットワークの拡大
大手企業のビザ(米国)とマスターカード(米国)に関しては、直近の米国の銀行の決算発表において取扱高の加速が示されたことなどから、堅調な業績の推移が予想されます。これらの銘柄への投資は、安定的な業績推移や配当が期待されることなどから、インフレヘッジの優れた手段であると考えられます。採算性の低いフィンテック新興企業への資金供給が後退したことなどから、新興企業が大手企業の成長を「食い潰す」のではないかという懸念が後退したことも両社の業績見通しについては好材料であると考えられます。さらに、決済に関する新しい製品やビジネスモデルが開発される際には、ビザやマスターカードとの協業が必要になる場合が多いと想定され、収益機会の拡大が期待されます。
スマートシティ|中長期的に成長が期待できる投資テーマ
地球上の多くの都市(特に先進国)は、インフラの老朽化の問題を抱えており更新のための投資が必要とされています。更新の際には、そこに暮らす人々の生活の質を高め、かつ、環境への負荷などを考慮したより効率性の高いインフラに置き換えられるものと期待されます。また、新興国では経済成長や都市人口の急増などにより、新たに高効率のインフラを備えた街づくりのニーズがあります。
さらに、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により人々の生活様式は大きく変化しました。例えば、身近な生活の中でデジタル技術を用いた様々なサービスを利用する機会が増加しましたが、この流れはポスト・コロナでも衰えないとみています。都市に暮らす人々のニーズはますます多様化し、それに応える革新的なサービスに対する需要は今後いっそう拡大すると見込まれます。こうした流れの中で、当ファンドが投資を行うスマートシティ関連株式は大きく恩恵を受け、今後も中長期的に成長が期待できると考えています。
当ファンドの運用に際しては、今後も中長期的に成長が期待されるスマートシティ関連の多種多様な企業の株式に分散投資を行っていく方針です。
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iTrustスマートシティ
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