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- 株式投資家の不安心理を助長させた米国経済指標
市場関係者の間で広がりつつあった「景気減速」に対する警戒感を高める米国の経済指標が7月16日に発表された。普段はあまり注目されない経済指標ではあるが、いまの米国経済が抱えるリスクを端的に示す内容だっただけに、セクター別の物色動向にも変化があらわれた。
株式投資家の不安心理を助長させたのは「米ミシガン大学消費者マインド指数」
米ミシガン大学が米国内の個人を対象としたアンケート調査で消費者マインドを指数化した「米ミシガン大学消費者マインド指数」が大幅に市場予想を下回った。7月16日に発表された同指数(7月速報値)は80.8となり、市場予想の86.5を大きく下回る結果となった(図表1)。
この指数は消費(景気)動向を予測するうえで比較的先行性が高い指標のひとつとして注目されているため、市場関係者の間で広がっていた「景気減速」に対する警戒感を高める結果につながったと考えられる。
1年先の期待インフレ率上昇が下振れの背景
この「米ミシガン大学消費者マインド指数」が下振れるきっかけになったのが、期待インフレ率の高まりだ。米ミシガン大学が算出する1年先の期待インフレ率(個人の物価予想)は7月に+4.8%となり、過去1年間で大きく上昇した(図表2)。
ミシガン大学によれば、住宅や自動車、家庭用耐久財の値上がりに対して個人の不満が高まっており、このような足元の物価上昇率の高まりが将来の物価見通しにも影響を及ぼし、消費者マインドの低下につながった可能性がある。
直近5日間のセクター別騰落率ではディフェンシブセクターが上位に
直近5日間(7月9日~16日)のMSCI先進国株指数におけるセクター別騰落率を見ると、米インフレ上振れに伴う景気減速懸念などを背景に公益(+1.3%)、生活必需品(+0.8%)、不動産(+0.4%)といったディフェンシブ(景気に対して比較的耐性がある)セクターが、騰落率の上位となっている(図表3)。
一方、 OPECプラス協調減産の縮小観測で大幅安となったエネルギー(-6.2%)は個別要因による影響が大きかったものの、一般消費財サービス(-2.3%)、金融(-1.3%)、資本財サービス(-1.2%)といった景気敏感セクターが、騰落率の下位となっていることが分かる。
このようなセクター別の物色動向が、決算シーズン前の一時的なポジション調整なのか、それとも景気減速に備えた本格的なセクター・ローテーションなのかは、今後の米インフレ率の趨勢(すうせい)がカギを握るだろう。
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