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- ロシアルーブル高の背景
ロシアのウクライナに対する軍事侵攻に対し、欧米をはじめとする国々が異例の結束でロシアに経済制裁をかけた結果、侵攻後通貨ルーブルの大幅安が進行しました。ただ、その後の展開を見るとロシア当局の資本規制などによりルーブルは急速に回復しました。もっとも、資本規制は時限措置でコスト高の点で持続性に疑問もあります。ルーブル安圧力は継続すると見られます。
ロシア中央銀行:経済制裁で暴落したルーブル下支え策である利上げを一部解除
ロシア中央銀行は2022年4月8日に緊急会合を開催し、政策金利を20%から17%へ引き下げると発表しました(図表1参照)。ロシア中銀は状況によってさらなる利下げも示唆しています。次回の定例会合は29日に予定されています。
ロシア中銀は2月28日に政策金利を9.5%から20.0%に引き上げました。ロシアのウクライナ侵攻を受け通貨ルーブルが急落したことへ対応するためです。
足元のルーブル回復は、資本統制やエネルギー輸出が背景と見るが持続性に疑問が残る
ルーブルが急落した背景として、日米欧など主要国がロシアの主要な銀行を「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除すると決めたことや、ロシア中銀の外貨準備を凍結するなど異例ともいえる経済制裁が挙げられます。
ルーブルは一時対ドルで価値が半分程度にまで下落しましたがその後急速に持ち直しています。ロシア当局のこれまでの対応を振り返ります(図表2参照)。
ルーブル急落後、ロシア中銀が緊急会合で政策金利を一気に20%にまで引き上げ、またロシア財務省はロシアの輸出企業に外貨売却を義務付けました。利上げはルーブル高要因であると見られるものの、即効性に欠けることと金利上昇がロシア経済に与えるコストがネックと思われます。
一方で、ルーブル安の抑制に効果があったのは為替市場により直接的に働きかける資本統制と見られます。3月月初に導入された資本統制により、預金者は外貨建て預金からの引き出しやルーブルを外貨に両替することなどを制限されました。その後急速にルーブル高に転じており効果は大きかったと見られます。この資本統制は結局ルーブル売りを抑制する政策で、預金者への取引制限という犠牲と引き換えにルーブルの回復を目指す政策と見られます。
なお、ルーブル回復の背景には貿易収支の改善も寄与したと考えられます。報道によると、ロシアは天然ガスや石油の収入は少なくとも1日11億ドルと伝えられています。さらに国際的な制裁によりロシアの輸入が減少していることによる貿易収支の改善も、一時的ながらルーブル高要因と見られます。
ロシア中銀はルーブルの安定を受け先週3%の利下げや、資本規制の部分的な緩和を発表しました。例えば制限付きながら外貨両替などが可能となりました。これを受け週明けのルーブルは先週の1ドル=80ルーブルを下回るルーブル高からルーブル安方向での取引となっています。
時限的措置で回復したルーブルですが、持続性に疑問もあります。ロシアの資源輸出も輸入国が代替を進めているなか、潜在的なルーブル安要因として残ると思われます。
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