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- ビットコインからCBDCへ
FRBによる金融引き締めを背景に暗号資産の価格が大きく下落している。ビットコインなど暗号資産は、当初、インターネットを活用した安価な送金手段として開発された。しかし、歴史的金融緩和の下、投機の対象となった感は否めない。金利が上昇すれば、利息のない暗号資産は本質的な価値を問われる。今後は中央銀行デジタル通貨(CBDC)がフィンテックの軸になろう。
下落する暗号資産:金融引き締め下で浮彫となる問題点
昨年11月をピークに暗号資産の価格が下落している。これは、NASDAQと概ね似た軌道だ(図表1)。インフレ圧力が高まり、FRBが金融引き締めに転じたことで、投機的な取引が縮小し、バリュエーションの修正が起こっていると考えられる。特に本源的な価値を持たず、利息を得られない暗号資産は、金利の上昇過程で真価を問われているのではないか。
そもそも、ブロックチェーン技術を使ったオンライン型電子マネーは、国際銀行間通信協会(SWIFT)を通じた銀行間の送金サービスを活用する場合、セキュリティが確保される一方、送金手数料が高い問題を背景に開発された。しかし、適正価格がないため、ボラティリティが高止まりし、投機的取引の対象になった感は否めない。一方、価格変動の激しさから決済・送金手段に活用するのは困難になったと言えよう。
新型コロナ禍を受け、FRB、ECB、日銀など主要中央銀行が歴史的な金融緩和を行ったことで、暗号資産の投資的魅力はさらに強化された。その結果、ビットコインは一時6万ドルを超える水準まで上昇したのではないか。
もっとも、インフレによりFRBの利上げが見込まれるようになると、本源的価値を持たず、国家権力による信用力の裏付けがない暗号資産は、厳しい下落局面になった。短期金利べースで1%の利息収入があるドルと、金利のないビットコインのどちらを持つべきか、市場は冷静な判断を迫られている。
CBDC:本格的なフィンテックの時代へ
日本国内での個人による商取引の決済は、依然として現金が中心だ。経産省の集計によれば、2021年におけるキャッシュレス決済の比率は32.5%だった(図表2)。2016年は20.0%なのだ、5年間で12.5ポイント上昇している。もっとも、うち27.7%は伝統的なクレジット決済であり、デビットは0.9%、電子マネー2.0%、コード決済は1.8%に過ぎない。
ちなみに、2018年の段階で韓国は94.7%、中国は77.3%がキャッシュレス決済だ。日本がアジア主要国のなかで大きく出遅れた理由は、1)歴史的に通貨への信頼が厚いことに加え、小売店側にとって2)設備投資が必要であること、3)決済事業者への手数料負担が大きいこと、4)売上計上から決済事業者より現金が入金されるまでタイムラグがあり、その間は運転資金を確保できないこと・・・の4点ではないか。
そうしたなか、主要国の通貨当局において、CBDCの開発競争が激化しつつある。中国が先行していたものの、日米欧がキャッチアップしている模様だ。CBDCは国家権力が信用を裏付ける通貨であるため、金利があり、受け取った側は支払に活用できる上、デジタル情報なので送金が容易だ。
CBDCが本格的に流通すれば、既存の暗号資産は存在意義を失う可能性が強い。さらに、キャッシュレス決済が進化し、インターネットを活用した低コストの送金が実現するなど、本当のフィンテックの時代に突入するのではないか。
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