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- インド国債、グローバル債券指数に組み入れ
現地通貨建てのインド国債が世界的な新興国債券指数に組み入れられることが発表されました。インド当局が海外投資家に対する規制緩和を進めてきたことが背景にあるようです。インドの債券市場は透明性など課題が残る面もある一方で、インド経済には長期的な成長期待もあるだけに市場拡大のきっかけとなることも考えられそうです。
インド国債、グローバル債券インデックスに組み入れられる運びに
米銀JPモルガン・チェースは2023年9月21日、インド国債をグローバルな新興国債券指数(主な現地通貨建て新興国ソブリン債券:JPモルガンGBI-EMグローバル・ディバーシファイド指数(以降「GBI-EM GD」)、 JPモルガンGBI-EMグローバル指数(以降「GBI-EM Global」)など)に組み入れられることが発表されました(図表1参照)。
インド国債の組み入れ開始時期は24年6月末となる見込みです。その後25年3月まで組み入れが徐々に増やされ、最終的な組み入れ比率に到達させる運びです。GBI-EM GDでのインドの組み入れ比率は10%になるとみられます。
インド国債の組み入れ比率はGBI-EM GD指数では10%となる見込み
今回のインド国債の組み入れは現地通貨建て債券に対して行われます、ドル建てインド国債はJPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数(ドルベース)にすでに組み入れられています。
現地通貨建てインド国債は、GBI-EM Global、 GBI-EM GD以外の債券指数、例えば、投資適格債に限定し、15%を組み入れ上限とする指数などにも組み入れられる見込みですが、ここでは先の2指数について述べます。
現在のGBI-EM Globalは時価総額ウェイトで構成される指数です。現在の時価総額の構成は中国が過半となっています(図表2参照)。この指数にインド国債が組み入れられた場合、インドの比率は8.7%程度になるとみられます。
次に、組み入れ上限を最大10%とするGBI-EM GD指数ではインド国債の組み入れ比率は上限の10%となることが見込まれています。現在、 GBI-EM GD指数にはインドネシアからブラジルまで5か国が10%の組み入れ比率となっています。インドが10%で組み入れされた場合であっても、中国とインドネシアは10%を維持するとみられます。一方で、メキシコなど他の3か国は小幅ながら10%を下回る見込みです(図表3参照)。また、タイは現在の9.8%から8.1%程度へ低下するとみられます。
インド国債が組み入れられることで指数の平均利回りは上昇が見込まれています。上昇幅は低利回りの中国の組み入れが大きいGBI-EM Globalが概ね0.3%程度、 一方、GBI-EM GDは0.1%未満と小幅にとどまりそうです。
インド政府の非居住者に対する債券投資の規制緩和が追い風
インド国債が2指数に組み入れられた場合、21番目の構成国となる可能性があります。JPモルガンは21年10月より、インド国債を組み入れる可能性が高いポジティブウォッチとして見守ってきました。このきっかけが、インド政府による外国人(非居住者)に対する投資制限の緩和とみられます。インド準備銀行(中央銀行)は20年3月末に、インド国債に対する非居住者の投資制限緩和を発表しました(FAR:FullyAccessible Route)。FARは特定のインド国債の投資上限を撤廃する内容です。JPモルガンの債券指数は単に時価総額で構成するというより、外国人投資家の投資可能性を考慮して指数を構成する側面もあるため、FARによる規制緩和もインデックスへの採用を後押ししたとみられるからです。
なお、JPモルガンは(海外)投資家にアンケートなどを行い、インド国債を指数に組み入れることに対する投資家の意向も確認したうえで採用を決定しています。実際の投資家も変化(改善)を実感しているようです
もっとも、一部には税制などの課題が残っている債券もあるようです。今回、組み入れ対象となるインド国債は23銘柄で、FARの対象に限られるようです。それでも、この23銘柄の名目元本価値は約3300憶ドルと規模は大きく、指数の中で存在感は高いと思われます。なお、2指数の時価総額を見ると、GBI-EM Globalが3.4兆ドル、GBI-EM GDが1.5兆ドル程度です。インド国債の組み入れは24年6月から25年3月までほぼ均等に行われるため、GBI-EM GDでは毎月1%程度、組み入れを増やしてゆくものと思われます。
なお、今後指数に採用される条件を満たす新規のインド国債(残存期間2年6か月以上、FARであること等)が発行された場合、指数採用銘柄の範囲が拡大することとなる模様です。
指数への採用を受け、現地通貨建てインド国債市場に対する海外からの資金流入額の見通しは、さまざまですが、組み入れ額の半分程度を見込む声もあるようです。もっとも組み入れ期間は25年3月までと長く、幅を持ってみる必要がありそうです。
インド経済の長期的な成長期待もみられる中、指数への採用によりインドへの資金フローを促すこととなる可能性もあるだけに、期待と不安を持って見守りたいと思います。
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