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2022年7月のバイオ医薬品市場
2022/08/22

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概要


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バイオ医薬品関連企業の株価動向

7月のナスダック・バイオテクノロジー指数(ドルベース、配当含まず)は上昇しました。

2022年7月のバイオ医薬品セクターは、空売りの買い戻しや良好な治験結果の発表を受けて、月初は上昇したものの、その後は横這いで月末を迎えました。当セクターの事業特性を考えると、利上げが重しとなる状況は暫く続くことが予想されます。メディケア(高齢者向け公的医療保険制度)関連の薬価抑制策を盛り込んだ米国の「インフレ抑制法案」は、交渉が再開されたものの、恐らく、売上への影響が現れるのは数年先のことであり、そもそも法案は下院を通過していないことから、市場では冷静に受け止められました。

株価が大きく変動した銘柄としてはナテラ(米国)、イルミナ(米国)などが挙げられます。ナテラは、同社の膀胱がん血液診断が新規に保険適用されたことなどが好感され、株価が上昇しました。医師は、血液検査の結果に基づいて、患者にがんが残っていて治療の継続が必要なのか、或いは、完全寛解していて、再発がないかを観察していくことになるかを決定します。「微小残存病変」概念は、血液がんの治療に広く使われていますが、固形腫瘍にも使われ始めており、がん治療の質の改善に寄与しています。同分野は数十億ドル規模の市場に成長することが期待されます。

今後のバイオ医薬品市場見通し

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

足元、改善の兆しも見え始めていますが、長期にわたりバイオ医薬品株式市場は弱気相場が続いています。株価の調整を受けてバリュエーション(投資価値評価)は低下していること、新しい長官の下で米食品医薬品局(FDA)の信頼回復が期待されること、良好な治験結果の発表、M&Aの動きがみられ始めていることなどはバイオ医薬品株式市場にとって良い兆候であると考えます。

長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む良い機会となると考えます。

バイオ医薬品関連企業の売上高は新型コロナ・ワクチンの売上減などが影響し相対的に低い伸びに

バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました。新型コロナ・ワクチンの売上減などが影響し相対的に低い伸びに(図表6参照)

                                                                                                                                                                                                                                       

一方、今後の売上高の伸びについては、2023年以降、モデルナ(米国)、ビオンテック(ドイツ)の新型コロナウイルス・ワクチンの売上が大幅に減少すると予想されていることが影響し、米国企業や先進国企業を下回ると予想されています。(図表7参照)

ただし、バイオ医薬品関連企業については、引き続き多くの有望な治療薬候補を有しており、新薬の承認後の業績寄与が期待されています。

売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)

バリュエーション

バイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて2021年夏頃までは株価が上昇し、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇していました。しかし2021年秋以降はFDAの承認申請に対する予想外の決定などがマイナス要因となったことに加え、今年に入りナスダック市場の下落が大きくなる中、ナスダック・バイオテクノロジー指数も下落したことから、PSRも低下しています。(図表9参照)

(将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

 

 

 

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