Article Title
2021年、注目の政治イベント
梅澤 利文
2021/01/05

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

2021年も新型コロナウイルスの動向が経済に様々な影響を与えることが想定されます。一方、今年の政治的なイベントに注目すると、年初は引き続き海外イベントが注目されます。しかし、その後は日本国内において重要イベントが目白押しです(図表2参照)。今年は内外のイベントに目を配る必要がありそうです。



Article Body Text

米株式市場:21年の取引は新型コロナへの懸念や政治イベントを控え下落でスタート

新年最初の米国株式市場の取引であった2021年1月4日は、主要指数が揃って下落しました。背景は新型コロナウイルスの感染再拡大懸念と、ジョージア州での上院議員選の決選投票を5日に控えるためと見られます(図表1参照)。

 

どこに注目すべきか:ジョージア州、メルケル首相、衆議院選挙

2021年も新型コロナウイルスの動向が経済に様々な影響を与えることが想定されます。一方、今年の政治的なイベントに注目すると、年初は引き続き海外イベントが注目されます。しかし、その後は日本国内において重要イベントが目白押しです(図表2参照)。今年は内外のイベントに目を配る必要がありそうです。

今年の主な政治的イベントを短期(図表1)と長期(図表2)に分けると、短期的には米国の動向が注目されます。バイデン次期大統領は1月20日に就任が予定されています。バイデン政権の運営を占う上でジョージア州の上院選挙がまず、注目されます。定員100議席の上院で、現在共和党が50議席、民主党が48議席を確保、残り2議席の争いです。仮に民主が2議席をとれば、実質的に過半数を確保したこととなり、ねじれ議会を想定していた市場にシナリオの変更を迫ることが考えられ、目先の注目点と見られます。

バイデン次期大統領の就任後の注目点として、パリ協定への復帰と、自らが目標として掲げた新型コロナウイルスのワクチン接種1億人(100日)の達成です。バイデン氏のグリーン政策やコロナ対応を占う上での試金石となりそうです。

欧州では英国と欧州連合(EU)の新たな関係が始まることと、ドイツのメルケル首相の後継者が今年の主要なテーマと見ています。特に、EUの実質的なリーダーと見られるメルケル首相の後継者が注目です。メルケル首相はこの秋に想定されるドイツ連邦議会選挙には出馬しない方向で、既に有力なドイツ与党であるキリスト教民主同盟(CDU)の党首を降りています。1月のCDU党大会で選出される党首は秋の議会選挙を経て首相となる可能性もあるだけに注目されます。なお現在は3名の候補が名乗りをあげています。

中国は3月に全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で今年の成長率目標が例年通りに公表される可能性があります。新型コロナウイルスの影響から早期に回復したことと、今年は共産党結党100周年など重要な節目の年である中、どのような経済運営方針が出されるかに注目しています。

日本の政治は、選挙を控えデリケートな1年になる可能性があります。新型コロナウイルスからの景気回復には財政政策や法整備が求められますが、日本では衆議院議員の任期満了を控え、解散選挙の時期を巡る思惑がテーマとなりそうです。与党有利な時期に選挙が設定され、安定した政権運営が見込める展開であれば市場にプラスとなることも想定されます。一方、何の成果もないまま任期満了を迎えて選挙に追い込まれるシナリオは回避したいところでしょう。そこで想定されるのは夏のオリンピック/パラリンピックを実現させて選挙を実施する流れです。一方、別の流れは、年前半、与党に有利な時期を見計らっての選挙の実施です。ただ、足元で緊急事態宣言が準備されていることや、7月には都議選が予定されるなど、年前半のスケジュールはタイトで時期選定の自由度は低い模様です。そうした中、与党がどのような戦略が立てるか予断は許さず、今後の動向に注目が必要と見ています。


梅澤 利文
ピクテ・ジャパン株式会社
ストラテジスト

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

手数料およびリスクについてはこちら



関連記事


FOMC:市場予想通りの利下げながら全体にタカ派

ECB:声明文はハト派ながら会見はタカ派も匂わす

11月の米CPI、市場予想通りの裏側にある注意点

11月の米雇用統計、労働市場の正常化を示唆

米求人件数とADP雇用報告にみる労働市場の現状

韓国「非常戒厳」宣言と市場の反応