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- 世界における21年の選挙の傾向と、22年の動向について
世界における今年の選挙を振り返ると、財政政策拡大を支持するという意味で左派の勢いが強かったと見られます。米国で上院の決選投票で民主党が2議席を獲得したのは1月のことでした。新型コロナウイルスからの回復局面における財政政策への見直しが支持につながったのかもしれません。この流れが2022年も続くのかという点に、今後注目が集まると思われます。
チリ大統領選挙:決選投票で左派のボリッチ氏がカスト氏を破る
南米チリで2021年12月19日に大統領選挙の決選投票が実施されで、元学生運動家で左派のガブリエル・ボリッチ下院議員(35)が勝利しました。
チリ選管当局によると、開票率99%超の段階でボリッチ氏が55%以上の得票率を獲得しました。元下院議員で右派のホセアントニオ・カスト氏は敗北を認めています。
貧富の格差是正などボリッチ氏の左派的な政策が想定される中、チリ通貨ペソ安が進行しました(図表1参照)。
どこに注目すべきか:選挙、左派の台頭、財政政策、中間選挙
世界における今年の選挙を振り返ると、財政政策拡大を支持するという意味で左派の勢いが強かったと見られます。米国で上院の決選投票で民主党が2議席を獲得したのは1月のことでした。新型コロナウイルスからの回復局面における財政政策への見直しが支持につながったのかもしれません。この流れが2022年も続くのかという点に、今後注目が集まると思われます。
まず、今年の選挙を振り返ると、ペルーやチリなどで左派政権が誕生しました。新型コロナの影響が残る中、分配による格差是正、低所得者への支援を掲げる左派に票が集まりやすい傾向が残っていた可能性はあります。
もっとも、ペルーの例が典型的ですが、左派政権誕生となると財政拡大などを懸念して市場では通貨安を伴う傾向も見られます。ペルーの選挙における6月の決選投票の結果が確定したのは翌月と接戦でした。財政支援一辺倒に傾くことに反対する勢力も大きいことがうかがえます。
先進国でも程度の差こそあれ同様の傾向が見られました。例えば、ドイツは中道左派の社会民主党(SPD)が中心となり、環境政党の緑の党と、市場経済重視の自由民主党(FDP)による連立政権が成立しました。右も左もという構成で、SPDは中道左派とやや色は薄まりますが、全体のバイアスは左派に偏っているように見られます。
日本では、リベラル色が強い宏池会の流れを受ける岸田政権は、当初分配政策を掲げたことや、巨額の財政政策を打ち出したことから中道左派的性格が見られます。
次に来年の選挙に目を移すと、左派優勢の流れを引き継ぎそうなのがブラジルです。まだ候補者が確定していない段階ですが、再選を目指すと見られるボルソナロ大統領は既に、対立候補の政策を想定するかのように、低所得層に手厚い給付を実施する構えです。
一方、フランス大統領選挙は中道同士の争いとなる可能性もあります。前回(17年)の仏大統領選挙は中道、欧州連合(EU)支持のマクロン氏と、右派で反EUのルペン氏が争いました。しかしルペン氏は右派色が消え、他の候補の中に埋没する中、強力な対立候補が無く、これまでのところマクロン大統領の再選に有利な展開となっています。このままの状況が続くと仮定すれば、ブラジルと異なりフランスの選挙が金融市場に与える影響は小幅とも想定されます。
なお、来年11月実施予定の米国の中間選挙は政権政党に不利というジンクスを破るのは難しいとみられます。その影響については今後の重い宿題としています。
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