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- 10月の中国主要経済指標は政策支援を求める内容
中国の10月の主要経済指標は概ね市場予想を下回りました。個人消費や不動産市場が軟調で、中国当局はゼロコロナ政策の微調整や不動産規制の緩和を発表しました。確かにこれらの政策に緩和の兆しが見られたことは前進で、株式市場には好感する動きも見られます。もっとも政策の効果に不透明な部分もあり、期待する一方で慎重に見守る姿勢も必要と思われます。
中国主要経済指標:一部指標に回復の鈍さが見られ、景気対策の必要性が高まる
中国国家統計局が2022年11月15日に発表した10月の小売売上高は前年同月比マイナス0.5%減となり、市場予想の0.7%増、9月の2.5%増を下回りました(図表1参照)。
1-10月の固定資産投資は前年同期比5.8%増と市場予想の5.9%増を下回りました(図表2参照)。
中国人民銀行(中央銀行)が11月11日に発表した社会融資規模は10月末で9079億元(約18兆700億円)で、市場予想の1兆6000億元を下回りました(図表3参照)。なお残高ベースでは前年同月比で10.3%増と、前月の10.6%増から伸びが鈍化しました。
どこに注目すべきか:主要経済指標、ゼロコロナ政策、不動産規制
10月の中国の主要経済指標は市場予想を下回る指標が多く見られました。工業生産は5.0%増と、市場予想5.3%増と同様の水準ですが、9月の6.3%増を下回っています。先日発表された10月の輸出が前年比マイナス0.7%減となったことや、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する厳格なゼロコロナ政策の影響で、国内外の需要が縮小したと見られます。
より大幅に市場予想を下回った項目のうち目立ったものとして小売売上高や不動産投資が挙げられます。小売売上高で売上が前年比大幅なマイナスとなったのは、電気用品、通信用品です。ゼロコロナ政策が強化された4月から5月に大幅に落ち込んだ食料品も10月は前年比マイナスとなっています。
不動産投資も10月は年初来前年比マイナス8.8%と、市場予想のマイナス8.3%を下回りました。中国の不動産市場は多くの問題に直面しています。最近の問題として、不動産開発企業が資金不足で工事を止めたままの未完成マンションなどに住宅ローンの未払いが起きたことが挙げられます。中国当局は夏ごろから対応を検討し、様々な金融支援に乗り出しています。ただし、これらの金融支援は分譲済みだが工事の遅れや停止で引き渡しができていないマンションの完成工事などに限られているようです。必要な措置ですが、不動産市場を盛り上げるには至っていないと見られます。
例えば、11日に発表された10月の中国金融(融資)統計で大半が不動産投資向けと思われる中長期融資を見ると(図表3参照)、10月は約332億元と、前月の約3470億元を大幅に下回りました。これまでの当局の金融支援は未完成物件の問題にある程度の解決になるとしても、不動産への投資マインドは凍り付いたままのようです。
不動産市場の新たな対策として、13日に人民銀等が16の項目からなる支援策を公表しました。中国の不動産市場が苦境となったのは当局がレッドラインなどの財務条項により融資の伸びを厳格に抑制したことがきっかけと見られます。16の項目の中には基準緩和を期待させる項目も含まれ、運用次第では市場の改善も想定されます。しかし、その効果が不透明な面もあり、展開を見守る姿勢も求められます。
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