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クレジット⑥ クレジット投資の種類④ : ハイブリッド証券(2)
2019/08/21

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概要
  • 劣後債、優先証券は、主に銀⾏が⾃⼰資本増強のために発⾏する証券で、社債等の⼀般債務と株式の中間的特性を備えた証券であり、債務の弁済順位の高い⼀般債務と比べてリスクが高い分、相対的に高い⾦利が設定されています。
  • また、個別に発⾏され、相対で取引されるなど市場流動性が低いことに注意が必要です。



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劣後債

劣後債は、期限の定めのある期限付劣後債と、期限の定めがない永久劣後債とがあります。⼀般的に期限付劣後債は、期間は5年以上で、破産宣告等の事由が⽣じた場合には元利払いが⼀般債務よりも劣後します。

⼀⽅、永久劣後債は、株式、優先証券のみに元利払いが優先し、利⾦⽀払いを繰り延べすることができる累積型が⼀般的です。資本性は期限付劣後債よりも永久劣後債の⽅が優りますので、相対的に⾦利は永久劣後債の⽅が高くなります。

グラフ1は、ポルトガルの銀⾏グループであるエスピリト・サント・フィナンシャル・グループの株式、社債、CB、劣後債価格の推移です(2013年7月末を100として指数化、期間:2013年8月〜2015年12月)。エスピリト・サントは2014年に破綻し、株式は上場廃止となり無価値になりました。また社債や劣後債もほとんどゼロになりましたが、劣後債は⼀般債務より元利払いが劣後するため、価格が社債より低くなっています。


グラフ2は、スタンダード・チャタード銀⾏の永久劣後債の推移です(期間:2013年12月末〜2017年12月末)。英国のスタンダード・チャタード銀⾏の永久劣後債は、2017年1月に繰上償還される⾒込みでしたが、2016年11月に償還を⾒送ること(コールスキップ)が発表されました。デフォルト事由が⽣じたわけではありませんが、期限の定めのない永久劣後債が繰上償還設定⽇に償還されなかったことから、投資家に不安⼼理が⽣じ永久劣後債価格が⼤きく下落した事例です。


優先証券

優先証券の特徴は、①償還期⽇が設定されていない、②利⾦⽀払いは繰り延べできない非累積型となり、劣後債よりも元利払いが劣後し、普通株式より優先します。⼀般的に劣後債よりも資本性が高い分、⾦利は高く設定されます。

注1:劣後債の⾃⼰資本算⼊期限付劣後債の残存年数が5年を切ると、⾃⼰資本への算⼊額が1年毎に20%減算されていきます。したがって、期限付劣後債は5年超で発⾏され、5年目に任意償還⽇が設定されるケースが通常です。⼀⽅、永久劣後債、優先証券は任意償還⽇は設定されますが、期限の定めがないことから⾃⼰資本算⼊額が減算されることはありません。
注2:累積型と非累積型劣後債、優先証券の利払いに関して、たとえば、利払条項等の定めで⾚字決算となった場合に、翌年度の利⾦は⽀払停止となりますが、翌年度⿊字に回復した場合、劣後債は⽀払停止となった分も含めて利払いができる累積型である⼀⽅、優先証券は利払停止となった分は繰り延べて⽀払いができない非累積型となります。


出所:ブルームバーグのデータを使⽤してピクテ投信投資顧問作成
※記載された銘柄はあくまで参考として紹介したものであり、その銘柄・企業の売買を奨励するものではありません。データは過去のものであり、将来の運⽤成果等を⽰唆あるいは保証するものではありません。


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